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2020年2月11日

広がるFacebook不安とVERO、MeWeにみる新たなSNSの台頭

新たなSNSの台頭〜Veroとは・MeWeとは〜

現在、世界最大のユーザー数を誇るFacebook、デイリーアクティブ利用者数は16億2000万人、月間アクティブ利用者数は24億5000万人にも上ります(2019年9月時点)。依然として、最も頻繁に利用されているソーシャルネットワーキングサービスである一方で、近年、アンチFacebookを自認したり、Facebookに対抗するようなアプリが急速にユーザー数を獲得しています。今回はそのうち2つを取り上げ、特徴的な機能や収益体系について考察していきます。

加速するFacebook離れ

現在、アメリカでは若年層を中心にFacebook離れが加速しています。12-34歳の年齢層では2017年~2019年までの間で79%から62%まで減少し、人口でいうと、この期間で1700万人減少しているのです。下記グラフから、35歳~54歳が横ばいで、55歳以上が微増である一方、若者のユーザー数の減少が顕著であることが分かるでしょう。

スタティスタ

■参考:Is Facebook Becoming Social Media’s Retirement Home?

 
考えられる原因として独スタティスタ社は

  • 10代の若者が両親や祖父母のような異なる年齢層からの友達リクエストに不満を持っていること
  • Facebook社の個人情報漏洩や個人データ不正利用問題で信頼が失われたこと
  • SnapChatやInstagramのようなより簡素で個人データの収集が少ない他プラットフォームの出現

を挙げています。

個人情報漏洩と言えば、2016年の米大統領選挙で起きた、ケンブリッジ・アナリティカによる最大8700万人のFacebook上の個人データ不正収集疑惑が記憶に新しいと思います。

VERO

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VERO』は2015年にリリースされたアプリで広告なし・アルゴリズムなし・データマイニングなしを掲げ、「True Social」をスローガンにしています。 2018年に爆発的にユーザー数が増えて、世界的にも注目を集めました。ユーザー数は年々増加傾向にあり、日本ではまだ知名度は低いものの、登録者数は500万人を超えています
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■参考:Google Trends

2018年頃の爆発的増加が、Facebookの個人データ漏洩と無関係とは言えないかもしれないですね。(2018年2月頃 Facebookデータの不正共有疑惑問題勃発)
 

特徴的な機能

 
投稿項目が6つあること、投稿の公開範囲をカスタマイズできることが挙げれらます。ネットではFacebookやInstagram、Google+のいいとこ取りのアプリとしても捉えられているようです。

・投稿項目が6つ

VEROの投稿項目は写真・リンク・音楽・映画・本・場所と細分化されています。
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コンテンツが分かれていることで、ユーザーは求めるコンテンツを探しやすくなり、また投稿主もターゲット層を狙いやすくなるという設計になっています。UIはスタイリッシュでデザイン性にかなり優れています。画質もInstagramより良いことからVEROを利用する海外クリエイターも多いそうです。

・投稿範囲をカスタマイズ

投稿の公開範囲は親しい友達・友達・知り合い・プライベートに分けられていて、投稿の都度設定することができます。友達はそれぞれのカテゴリーに属するように振り分けることができます。
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サブスクリプション体系

 
VEROは広告収入ではなく、サブスクリプション体系、ユーザー側からの課金するビジネスモデルをとっています。その代わりに個人データを広告利用や転用はしないというスタンスです。当初は最初の100万人の登録者は「生涯使用料無料」でそれ以降は有料としていましたが、急激なユーザー数増加等に伴い、「生涯使用料無料」を現在延長している状態です。

We made our business model subscription-based so we could be free of ads, making our users our customers

■参考:VERO公式HP

しかしVEROはビジネスモデルをサブスクリプションモデルと表明して顧客はユーザーと定めており、同社CEOのAyman Hariri氏も2020年の第一四半期までには追加機能を加えたサブスクリブションサービスを開始する予定と表明しているため、段階的な有料化が見込まれるでしょう。

MeWe

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MeWe』は2016年に開始された新しいタイプのソーシャルメディアネットワークで、2018年春ごろには500万ユーザーを突破し、2020年には1億5000万ユーザーにする予定をしています。プライバシーを尊重する次世代ソーシャルネットワーキングサービスとし、広告やスパイウェア、BSがありません。
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MeWeはアンチFacebookを自認していて、とてもユニークなのが、プライバシーポリシー内でプライバシー権利章典を定め、ユーザーの個人情報やコンテンツはユーザー自身が管理者であることを宣言しています。
■参考:MeWeプライバシーポリシー
 

収益体系と機能

 
無料で使える機能としては、ニュースフィード、カスタムカメラ、エフェメラルコンテンツ(ストーリーのような一定時間ごとに消えてしまうコンテンツ)、音声やビデオによるメッセージ、カスタムスタンプ、8GBストレージがあります。

一般ユーザーが日常的に利用するには十分な機能であると思われます。特徴的な機能としてプライバシーや共有、コミュニティ作成等の設定をカスタマイズができるため文字通り、自身のコンテンツや個人情報を意図通り管理できるところにあります。MeWeもVeroと同じようにサブスクリプションベースのマネタイズ方法をとっており、一般的なSNSユーザーには無料で利用できる機能をさらに拡張したプレミアム機能。さらにエンタープライズ向けにもslackのようなコミュニケーションツールサービスも開始しています。
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具体的にビジネス向けとしては、エンドツーエンドで暗号化されたチャット、Windows 360との統合、タグ付け、アンケート、カスタムカメラ、音声およびビデオ会議機能が搭載され、料金設定も階層化されています。
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■参考:MeWe PRO公式HP

まとめ

上記に挙げた2つのアプリのように、昨今のSNSに嫌悪感を抱くユーザーに対して、広告やデータマイニングやアルゴリズムを介在させない代わりに、サブスクモデルを収益体系としたSNSが生まれてます。またそうしたアプリは同時に、SNSは不特定多数と繋がれ、拡散性が強いという特徴とは逆行した親しい人、限られたコミュニティでSNSを楽しみたいというニーズにも対応するものとなっています。従来SNSは無料のツールであったものの、それと引き換えに、私たちは個人情報という重要な無形財産を知らず知らずに提供していました。ユーザー側がお金を払い、SNSツールを利用する形式が拡大し、Facebookを脅かすことができるのか引き続き注目していきたいですね。

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