ヘルスケアアプリの開発方法完全マニュアル|開発期間や費用と手順について徹底解説
ヘルスケアアプリは、個人の健康管理やフィットネス、医療サービスの提供に不可欠なツールとなっています。
市場の拡大とともに、独自のヘルスケアアプリを開発したいと考える企業も増えています。
しかし、具体的な開発手順や費用、期間を理解することは、プロジェクト成功のために重要です。
本記事では、ヘルスケアアプリの開発に必要な知識をわかりやすく解説します。
ヘルスケアアプリの種類と機能
ヘルスケアアプリの開発にあたり、まずはターゲットとする分野や目的を明確にする必要があります。
以下に、主な種類とその特徴を紹介します。
(1)フィットネス・トラッキングアプリ
目的:運動量の記録やフィットネス目標の達成をサポート。
主な機能:
歩数計、カロリー消費の計算。
トレーニングプランの提供。
ウェアラブルデバイスとの連携。
(2)栄養管理アプリ
目的:食事内容の記録や栄養バランスの管理。
主な機能:
食事の記録とカロリー計算。
栄養素の摂取量追跡。
レシピの提案や食事プランニング。
(3)メディカルヘルスケアアプリ
目的:医療関連のサポートや健康モニタリング。
主な機能:
病歴や薬の管理。
バイタルデータ(血圧、心拍数)の記録。
医師との遠隔診療機能。
(4)メンタルヘルスアプリ
目的:ストレス管理やメンタルヘルスの改善。
主な機能:
瞑想やリラクゼーションプログラム。
気分の記録。
カウンセリングのスケジュール管理。
開発費用の相場
ヘルスケアアプリの開発費用は、機能や規模に応じて異なります。以下は一般的な費用相場です。
(1)小規模アプリ
費用相場:100万~300万円
特徴:基本的な機能(データ入力、記録機能)を搭載。ローカルデータの管理が中心。
例:シンプルな食事記録アプリ。
(2)中規模アプリ
費用相場:300万~800万円
特徴:デバイス連携やクラウド同期機能を搭載。個別のカスタマイズ機能を実装。
例:ウェアラブルデバイス連携型のフィットネスアプリ。
(3)大規模アプリ
費用相場:800万円~2,000万円以上
特徴:AIや機械学習を活用した個別化サービス。医療データやセキュリティ要件を満たした設計。
例:遠隔医療や健康診断結果の分析アプリ。
3. 開発期間の目安
開発期間は、アプリの規模や複雑さによって異なります。以下は、一般的な期間の目安です。
(1)シンプルなアプリ
期間:3~6ヶ月
内容:基本的な機能と簡易的なUIデザイン。
(2)中規模アプリ
期間:6~12ヶ月
内容:デバイス連携、通知機能、クラウド同期。
(3)大規模アプリ
期間:12ヶ月以上
内容:AI解析、医療データ管理、複数プラットフォーム対応。
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ヘルスケアアプリ開発の手順
以下は、ヘルスケアアプリを開発する際の主な手順です。
(1)要件定義
アプリの目的、ターゲットユーザー、必要な機能を明確にします。
ポイント:ユーザーのニーズを徹底的にリサーチ。法規制(医療データの取り扱いなど)を確認。
(3)デザイン
ユーザーインターフェース(UI)とユーザー体験(UX)を設計。
ポイント:シンプルで直感的なデザインを目指す。配色やフォント選びで信頼感を演出。
(4)開発
フロントエンド、バックエンド、データベースの開発を行います。
ポイント:クラウドサービスやデバイス連携を組み込む。セキュリティ要件(データ暗号化、認証機能)を考慮。
(5)テスト
ユーザビリティテスト、不具合検証を徹底します。
ポイント:多様なデバイスやOSで動作確認を行う。医療データを扱う場合、厳格なセキュリティテストを実施。
(6)リリース
アプリストアへの申請・公開を行います。
ポイント:AppleのApp StoreやGoogle Playのガイドラインを遵守。初期ユーザーのサポート体制を整備。
(7)運用・保守
定期的なアップデートや機能追加を行います。
ポイント:ユーザーからのフィードバックを反映。法規制やセキュリティ要件の変更に対応。
決定すべきこと
webアプリ or ネイティブアプリ
どのアプリの種類でリリースするかも重要です。特定のOS専用に開発されるネイティブアプリかwebブラウザ上で動作するwebアプリ(ブラウザアプリ)かどちらかです。今回toC向けのモバイル利用を想定していますので、この2者で検討します。
ヘルスケアアプリの中で、運動記録や食事管理など毎日操作を促すアプリになると、ネイティブアプリの方が利用してもらいやすいです。ネイティブアプリはApple StoreかGoogle Play Storeからアプリをダウンロードし、ホーム画面にアイコンが並びます。webアプリの場合、ブラウザを開いてからブックマーク経由などで目的のアプリに辿り着くので、辿り着くまでが面倒になります。またPWAというネイティブアプリのようなUI/UXを構築するものもありますが、ブラウザから「ホーム画面に追加」を行って、ホーム画面に追加する手間もあり、その点でネイティブアプリより少しハードルが高いように思います。
ヘルスケアアプリは継続利用率が事業成功の鍵になります。利用しやすさは継続利用に大きく影響するので、その点でいうとネイティブアプリが良いと思います。
また、ネイティブアプリでしか実現できない機能もありますので、ヘルスケアアプリでどのようなアプリを作るかでも変わってきます。逆にサービスの内容によっては、webアプリで十分というケースもあるでしょう。
結論としてはケースバイケースということではありますが、どちらがいいかについては、また別記事でご紹介します。もし御社の開発を検討するアプリはどちらがいいのかなどご相談がございましたら、ご連絡ください。
スクラッチ or パッケージ or ノーコード
0から作るスクラッチ、パッケージをカスタマイズして構築、ノーコードツール、どの手法を選択すべきかを考えましょう。
コストが一番小さいのはノーコードツールで、一番高いのはスクラッチになります。とはいえ、ノーコードツールで何でもできるというわけではなく、スクラッチが一番拡張性高く運用を進めることができます。また複雑な機能やウェアラブル端末との連携が必要などはスクラッチでないと難しいケースがあります。
なるべく安く開発コストを抑えたい場合は、御社が考えるアプリがノーコードツールで構築できるのか、そのノーコードツールの会社に相談することをお勧めします。またアプリをスクラッチで開発となると、数百万円から2000万円超となる場合もあり、アプリが市場に受け入れられなかった場合、コスト的なリスクがあります。何でも作れるというわけではありませんが、サービスの検証を行う意味でノーコードツールを利用するのも一つの方法です。MVP検証によりユーザーの利用データが集まり、本格的にアプリを開発すると判断した場合にスクラッチで開発を行うのも堅実な選択と考えます。
5. ヘルスケアアプリ開発の成功ポイント
(1)セキュリティ対策を徹底する
健康データや医療情報を扱う場合、法規制(GDPR、HIPAAなど)を遵守し、データの暗号化やアクセス制限を導入。
(2)ユーザー体験を最優先にする
複雑な機能を詰め込むのではなく、使いやすさと目的達成を重視。
また、ヘルスケアの中で健康管理を毎日記録するのも、ユーザーにとって負担に感じさせてしまうこともあります。様々なアプリの中にはユーザーの継続利用を目的として、ゲーミフィケーションを取り入れた仕様も見られます。ゲーミフィケーションとは、ゲームのようなシステムをゲーム以外の分野に採用することをいいます。
例えばゲームのRPGではレベル上げやミッション達成でアイテム・ポイントの獲得などありますが、それを例えばヘルスケアアプリに取り入れて、1万歩歩行達成で100ポイント獲得などです。時には億劫になってしまう記録作業を楽しんでもらいながらアプリの利用を続けてもらう仕組みです。
(3)専門家との連携
医療分野やフィットネス分野の専門家の意見を取り入れることで、信頼性を高める。
(4)段階的にリリースする
最初はMVP(Minimum Viable Product)をリリースし、ユーザーの反応を見ながら機能を拡張。
リリース後に考えること
ヘルスケアアプリ開発プロジェクトを考える上では、開発フェーズ以上にリリース後の運用フェーズが非常に重要です。運用フェーズでの取り組みや予算も想定した上でプロジェクトの計画を組まれることをお勧めします。
集客
広告は一時的に多かれ少なかれユーザーの流入が見込めます。ただし、広告費は継続的に必要です。またはオウンドメディアを構築して、SEOより自然流入を増やして、ユーザーを集める方法もあります。こちらは突発的な流入は見込めないものの、正しいキーワード選定と競合調査を行った上でユーザーにとって良質な記事を継続的に提供していければ、継続的にファンを増やすことが可能です。
サービス改善
次に考えるべきことは集まったユーザーに、いかに継続的にサービスを利用してもらうかということです。ヘルスケアアプリの利用継続率は、各アプリからの公式なデータはありませんが、様々な発信を見るあたり、アプリをダウンロードして30日経過で約20%ほどと推測します。
いかに継続利用してもらうかを考える上で、どのような人(ユーザー属性:性別、年齢、職業)が多く利用しているかや、ユーザーレビューがヒントになります。また競合となるアプリの動向をチェックしたり、別ジャンルで話題になっているアプリの施策について知ることも大切です。自社のヘルスケアアプリに応用できることはあるかもしれません。
またユーザーレビューの捉え方も重要で、そのままユーザーの希望通りにサービス改善することも一部よいと思いますが、そのレビューの言葉の裏側の願望まで分析していくと、潜在的なニーズを発見でき、それが競合他社と差別化できる大きな勝因になるかもしれません。
サービス改善にあたり、詳しくはこちらもご覧いただけると参考になるかと思います。サービスデザインに関するフレームワークも紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
オプスイン:サービスデザインのフレームワークービジネスプランを具現化する方法
外注先を選ぶポイント
近しい開発実績の有無
御社が開発を検討されているアプリや機能に近しい実績を持っているかどうかも判断材料に加えましょう。近い実績があるためコミュニケーションも開発もスムーズに進みやすいと思います。開発会社と仕様を考える上でも、これまでの知見を活かした提案がもらえやすいため、無駄な工数を増やさず、結果的にコスト削減やトラブル防止になります。またヘルスケア特有の選定ポイントとして、医療従事者との協働実績や医療機器プログラム規制への対応経験などもアプリの内容によっては、ポイントになります。またそのアプリが高齢者または幅広い年齢層の利用が見込まれるのであれば、アクセシビリティ(障害者や高齢者でも使いやすいUI設計)や直感的なUI/UX設計実績の知見があるかも確認しましょう。
サポート内容
複数社の開発会社から提案をもらうことも少なくないと思います。その中で開発費用の比較も重要ですが、その費用でどこまでのサポートがあるかを判断することの方が重要です。例えば、開発後のサポート体制でアプリストアの審査対応、保守内容の緊急時対応可能時間(24365、平日営業時間のみなど)などです。その他UI/UX提案やマーケティング施策の提案などもクライアント様によっては重要な内容になります。また、スケーラビリティ(拡張性)への配慮やセキュリティ設計について具体的な考えを持っているかも可能であれば確認してみましょう。
まとめ
ヘルスケアアプリの開発は、ターゲットユーザーや目的に応じて適切な計画と技術が求められます。
費用や期間を正確に見積もり、開発プロセスを段階的に進めることで、成功率を高めることができます。
信頼できる開発パートナーを見つけ、セキュリティや法規制を重視した開発を行い、ユーザーに価値を提供するアプリを作りましょう。
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東京都のwebアプリ、スマートフォンアプリ開発会社、オプスインのメディア編集部です。
・これまで大手企業様からスタートアップ企業様の新規事業開発に従事
・経験豊富な優秀なエンジニアが多く在籍
・強みはサービス開発(初期開発からリリース、グロースフェーズを経て、バイアウトするところまで支援実績有り)
これまでの開発の知見を元に、多くのサービスが成功するように、記事を発信して参ります。
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