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EC-CUBEでどこまでカスタマイズできるか|機能別実装事例と開発方法を解説

EC-CUBEの導入を検討する際、「標準機能だけで自社の業務要件を満たせるのか」という疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。また、カスタマイズできるという点でEC-CUBEを選択肢に入れている方もいるかと思います。どこまでカスタマイズできるかを知ることで、開発手法の選択がしやすくなるため、本記事ではその点を詳しく示していきたいと考えています。

オープンソースの強みを活かせば、独自機能の追加や業務フロー最適化が可能です。本記事では、EC-CUBEで実現できるカスタマイズを機能別に整理し、実装アプローチを解説します。

EC-CUBEで実現できるカスタマイズの範囲

EC-CUBEの拡張性が高い理由

EC-CUBEが幅広いカスタマイズに対応できる理由は、オープンソースならではの特性にあります。

まず、ソースコードが全面公開されているため、開発会社やエンジニアが内部構造を理解しやすく、独自の機能追加や改修が行いやすい環境が整っています。また、現在4系バージョンではPHP/Symfonyというモダンなフレームワークをベースに構築されているため、柔軟な機能追加が可能です。

さらに、プラグイン機構が用意されており、本体に手を加えることなく安全に機能を拡張できる仕組みがあります。加えて、外部システムとのAPI連携にも対応しているため、基幹システムや在庫管理システムなど、既存の業務システムと連携させることも可能です。

カスタマイズの3つのアプローチ

EC-CUBEのカスタマイズには、大きく分けて3つのアプローチがあります。それぞれの特徴と適用ケースを理解しておくことで、自社に合った方法を選択できるでしょう。

アプローチ 概要 適用ケース 特徴
プラグイン導入 既存プラグインを導入 標準的な機能追加 短期間・低コスト・保守性高
自作プラグイン開発 独自プラグインを開発 自社独自の業務要件 本体改変不要・バージョンアップ対応◎
本体カスタマイズ EC-CUBE本体を直接改修 大規模独自要件 完全自由・バージョンアップ時再実装必要

どのアプローチを選ぶかは、実現したい機能の性質によって変わってきます。

標準的な機能追加(クーポン、ポイント等)であれば、既存のプラグイン導入で対応できることが多いでしょう。自社独自の業務フロー対応が必要な場合は、自作プラグイン開発が推奨されます。これは本体を改変しないため、将来的なバージョンアップの際にも対応しやすいという利点があります。

一方、大規模で複雑な独自要件がある場合は、本体カスタマイズという選択肢もあります。ただし、この方法はバージョンアップ時に再実装が必要になるリスクがあるため、その点を理解した上で選択することが重要です。

機能別カスタマイズ事例|EC-CUBEで実現できること

ここからは、EC-CUBEで実現可能なカスタマイズを機能別に具体的に見ていきましょう。

マーケティング・販促機能

① クーポン機能拡張

実現内容: 会員別クーポン、カテゴリ別クーポン、期間限定クーポン、自動適用、利用回数制限

標準機能にもクーポン機能はありますが、より細かい条件設定が必要な場合はカスタマイズによって拡張できます。特定の会員グループだけに適用されるクーポンや、特定カテゴリの商品のみに使えるクーポンなど、マーケティング施策に合わせた柔軟な設定が可能です。

業務への効果: 顧客セグメント別の販促施策を実施しやすくなり、リピート購入促進やキャンペーン効率化につながります。

② 定期購入(サブスクリプション)

実現内容: 配送サイクル設定(毎月◯日・◯日ごと・◯週間ごと)、継続回数に応じたプレゼント機能、決済自動化

定期購入は、安定収益を確保したい事業者にとって重要な機能です。EC-CUBEでは、専用のプラグインやカスタマイズによって定期購入機能を実装できます。配送サイクルを柔軟に設定でき、継続購入してくれる顧客に対してプレゼントを自動で同梱するといった施策も実現可能です。

業務への効果: 安定収益の確保、顧客LTV(生涯価値)向上、継続率改善

③ ポイント機能カスタマイズ

実現内容: 会員ランク別ポイント付与率、商品別ポイント設定、期間限定ポイント、ポイント有効期限管理

ポイント制度をより高度化することで、ロイヤルティプログラムを構築できます。ゴールド会員には通常の2倍のポイントを付与する、特定商品には3倍ポイントを設定するなど、細かな設計が可能です。

業務への効果: ロイヤルティプログラム構築、優良顧客の育成

④ LP(ランディングページ)作成機能

実現内容: 独自URL設定、パスワード保護で限定公開、カート直結ボタン設置

キャンペーンごとに専用のランディングページを作成できる機能です。独自のURLを設定でき、パスワードをかけて特定の顧客だけに公開することも可能です。ページから直接カートに商品を追加できるボタンも設置できるため、CVR(コンバージョン率)向上が期待できます。

業務への効果: キャンペーンごとの専用ページ作成、CVR向上

BtoB向け機能

① 会員グループ別価格設定

実現内容: 取引先ごとの専用価格表、数量別割引、ゲスト(非会員)向け価格非表示

BtoBのECサイトでは、取引先ごとに異なる価格を設定する必要があることが多いのではないでしょうか。EC-CUBEでは、会員グループごとに異なる価格を設定できるカスタマイズが可能です。また、ログインしていない訪問者には価格を表示しない設定もでき、価格情報の漏洩を防ぐことができます。

業務への効果: 取引先別価格管理の効率化、価格情報の漏洩防止、見積作業の削減

② 見積・承認フロー

実現内容: 見積書発行機能、社内承認ワークフロー、承認者設定、承認履歴管理

BtoBでは、注文前に見積を発行し、社内で承認を得るプロセスが必要な場合があります。EC-CUBEでカスタマイズすることで、見積書の発行から承認フローまでを一元管理できるようになります。

業務への効果: BtoB特有の商習慣への対応、承認プロセスの可視化、業務効率化

③ 掛け払い対応

実現内容: 請求書発行、支払期限管理、与信管理機能、未収金アラート

BtoB取引では、クレジットカード決済ではなく掛け払い(後払い)が一般的です。EC-CUBEに請求書発行機能や与信管理機能を追加することで、従来の取引形態をそのままECサイトに移行できます。

業務への効果: BtoB標準決済手段への対応、キャッシュフロー管理

④ CSV一括注文

実現内容: 商品コードと数量を入力して一括発注、エクセルからのコピー&ペースト対応、注文テンプレート保存

定期的に同じ商品を大量発注するBtoB顧客にとって、1つ1つ商品ページから注文するのは手間がかかります。CSVやエクセルから商品コードと数量をコピー&ペーストして一括注文できる機能を実装することで、発注業務が大幅に効率化されます。

業務への効果: 定期発注業務の大幅効率化、入力ミス削減

在庫・物流管理

① 複数倉庫在庫管理

実現内容: 倉庫別在庫表示、出荷倉庫の自動振り分け、リアルタイム在庫連携

複数の物流拠点を持つ事業者の場合、どの倉庫にどれだけ在庫があるかを一元管理する必要があります。EC-CUBEでは、倉庫別の在庫数を管理し、注文が入った際に最適な倉庫から自動で出荷する仕組みを構築できます。

業務への効果: 物流拠点を分散した際の在庫一元管理、配送コスト最適化

② 予約販売機能

実現内容: 発売日前の予約受付、販売数上限設定、入荷通知の自動送信

新商品の発売前に予約を受け付けることで、需要予測の精度を高めることができます。販売数の上限を設定して「先着◯名様限定」とすることも可能です。また、入荷した際に自動で通知を送る機能も実装できます。

業務への効果: 需要予測精度の向上、機会損失の削減、計画生産

③ 商品バンドル販売(セット販売)

実現内容: セット商品登録時の構成商品在庫自動減算、自由な組み合わせ設定

「シャンプーとコンディショナーのセット」のように、複数の商品をセットで販売する際、それぞれの商品の在庫が自動的に減算される仕組みを作れます。これにより、在庫管理の精度が向上し、欠品リスクを減らせます。

業務への効果: クロスセル促進、在庫管理精度の向上

外部システム連携

① ERP(基幹システム)連携

実現内容: 基幹システムと受注データ連携、在庫同期、顧客情報連携

既に基幹システムを導入している企業がECサイトを立ち上げる際、データを手作業で入力し直すのは非効率です。EC-CUBEと基幹システムを連携させることで、受注データや在庫情報を自動で同期でき、業務効率が大幅に向上します。

業務への効果: 業務システムの一元化、データ二重入力の削減、経営情報のリアルタイム把握

② 在庫管理システム(WMS)連携

実現内容: WMS(ロジレス、ネクストエンジン等)とのAPI連携、リアルタイム在庫同期

複数の販売チャネル(自社EC、楽天、Amazon等)で販売している場合、在庫管理システムと連携させることで、在庫数を一元管理できます。これにより、ECサイトと他チャネルで同時に在庫切れが発生するリスクを減らせます。

業務への効果: 複数販売チャネルの在庫一元管理、欠品防止、過剰在庫削減

③ LINE連携

実現内容: LINE公式アカウントと顧客データ連携、配送通知の自動送信、クーポン配信

LINEは開封率が高いコミュニケーション手段です。EC-CUBEとLINEを連携させることで、商品発送時に自動でLINE通知を送ったり、誕生日クーポンを配信したりできます。

業務への効果: 顧客接点の強化、リピート購入促進、開封率の高い通知手段確保

④ 会計システム連携

実現内容: 売上データの自動連携、仕訳データのエクスポート

ECサイトの売上データを会計システムに手入力している場合、連携機能を実装することで自動化できます。経理業務の効率化だけでなく、入力ミスの削減にもつながります。

業務への効果: 経理業務の効率化、入力ミスの削減、リアルタイム収支把握

UI/UX改善

① 商品検索強化

実現内容: ファセット検索(絞り込み条件を複数同時選択)、検索履歴表示、入力サジェスト機能

商品数が多いECサイトでは、顧客が目当ての商品を見つけやすくすることが重要です。

「色は赤、サイズはM、価格は5,000円以下」のように複数条件で同時に絞り込めるファセット検索を実装することで、商品の発見性が向上します。

業務への効果: 商品の発見性向上、購入までの導線改善、CVR向上

② レコメンド機能

実現内容: 閲覧履歴ベースのおすすめ商品表示、関連商品の自動表示、AIパーソナライゼーション

顧客の閲覧履歴や購入履歴をもとに、おすすめ商品を自動表示する機能です。「この商品を見た人はこんな商品も見ています」といった関連商品の提案により、クロスセルを促進できます。

業務への効果: 客単価向上、クロスセル促進

③ 納品書・帳票カスタマイズ

実現内容: 独自フォーマットへの変更、会社ロゴ挿入、複数テンプレートの切り替え

納品書や請求書のフォーマットを自社独自のものに変更できます。会社のロゴを入れたり、取引先ごとに異なるテンプレートを使い分けたりすることも可能です。

業務への効果: ブランドイメージの統一、取引先要望への対応

カスタマイズ時の注意点

EC-CUBEのカスタマイズを進める際には、いくつか留意しておくべき点があります。

バージョンアップへの影響

主なリスク

EC-CUBEは定期的にバージョンアップが行われています。過去にEC-CUBE 2系から3系での大型バージョンアップでは、システムの構造が大きく変わりました。これからのバージョンアップでもカスタマイズ部分は大幅に改修が必要になる可能性があります。

また、現在の4系内のマイナーアップデートであっても、プラグインの互換性チェックが必要になることがあります。本体を直接カスタマイズした場合、バージョンアップ時の再実装コストが高くなる傾向があります。

対策

このようなリスクを軽減するためには、本体を直接改変するのではなく、自作プラグイン開発を優先することが推奨されます。プラグイン形式であれば、本体の改変を最小限に抑えられるため、バージョンアップ時の対応がしやすくなります。

また、公式ドキュメントに沿った実装方針を採用することで、将来的な互換性を保ちやすくなります。定期的なバージョンアップ計画を策定しておくことも、長期的な運用を考える上で重要です。

プラグイン選定時の確認事項

既存のプラグインを導入する際には、以下の点を確認しておきましょう。

チェックポイント

  1. 使用中のEC-CUBEバージョンとの互換性
  2. 他プラグインとの競合有無(導入前にテスト環境で検証)
  3. サポート・更新頻度(メンテナンスが継続されているか)
  4. 導入実績・レビューの確認

複数のプラグインを同時に導入する場合、互いに干渉して正常に動作しなくなるケースもあります。そのため、本番環境に導入する前に、必ずテスト環境で動作確認を行うことが大切です。

テスト環境での検証

必須事項

カスタマイズやプラグイン導入を行う際は、以下の手順を踏むことをおすすめします。

  1. 本番環境と同一構成のテスト環境を用意
  2. カスタマイズは必ずテスト環境で先行実施
  3. データベースの完全バックアップを取得してから作業
  4. 本番リリース前に十分な動作確認期間を確保

テスト環境で問題なく動作することを確認してから本番環境に反映することで、万が一のトラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ

EC-CUBEはオープンソースならではの高いカスタマイズ性を持ち、マーケティング機能の強化からBtoB特化機能、基幹システム連携まで幅広い拡張が可能です。

導入を検討する際は、標準機能だけでなく、カスタマイズによってどこまで自社の業務要件に対応できるかを見極めることが重要です。既存プラグインで対応できる範囲であれば短期間・低コストで導入でき、独自の業務フローが必要な場合でも自作プラグイン開発によって柔軟に対応できます。

特に基幹システムや在庫管理システムとの連携は、業務効率化やコスト削減に直結するため、導入段階から連携要件を整理しておくことをおすすめします。また、将来的なバージョンアップを見据えて、本体を直接改修するのではなく、プラグイン形式でのカスタマイズを選択することで、長期的な保守コストを抑えられます。

EC-CUBE以外の開発・構築の仕組みについても以下記事で解説しております。併せてご覧ください。

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オプスイン編集部
オプスイン編集部
東京都のwebアプリ、スマートフォンアプリ開発会社、オプスインのメディア編集部です。
・これまで大手企業様からスタートアップ企業様の新規事業開発に従事
・経験豊富な優秀なエンジニアが多く在籍
・強みはサービス開発(初期開発からリリース、グロースフェーズを経て、バイアウトするところまで支援実績有り)
これまでの開発の知見を元に、多くのサービスが成功するように、記事を発信して参ります。

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