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2024年10月10日

【2025年版】システム開発の費用相場(規模別)


【2025年版】システム開発の費用相場(規模別)

システム開発を行う際、コストは企業にとって大きな関心事です。

費用の適切な管理は、プロジェクトの成功に直結しますが、無駄なコストが発生するリスクも高いため、事前に費用相場を把握し、効率的なコスト削減策を講じることが重要です。

本記事は、2025年の最新システム開発費用の相場と、無駄なコストを削減する方法について解説します。

1. システム開発費用の相場

システム開発の費用は、開発規模や機能の数または複雑さ、技術要件によって大きく異なります。

今回イメージしていただきやすいよう、システムの種類を1つ絞り(例:顧客管理システム)小規模、中規模、大規模開発でそれぞれの費用感をご紹介します。

◼︎例)CRM(顧客管理システム)・SFAシステム(営業支援システム)の開発費用相場

CRM(顧客関係管理)とSFA(営業支援システム)は、営業活動を効率化し、顧客情報を一元管理するシステムです。ここでは、システムの規模別に機能と費用の目安を紹介します。

小規模開発:300万円〜700万円(開発期間:3〜4ヶ月)

主な機能

  • ・顧客情報管理(企業名、担当者、連絡先、業種、規模など)
  • ・商談・案件管理(案件名、金額、確度、進捗ステータス)
  • ・営業活動履歴の記録(訪問、電話、メール)
  • ・基本的な検索・絞り込み機能
  • ・営業担当者別ダッシュボード
  • ・顧客・案件の一覧表示
  • ・CSVインポート・エクスポート機能
  • ・基本的なアクセス権限管理

費用内訳

項目 金額 割合
要件定義費用 35万円〜80万円 10〜12%
設計・環境構築費用 70万円〜160万円 22〜24%
開発費用 150万円〜350万円 48〜50%
テスト費用 45万円〜110万円 15〜17%
合計 300万円〜700万円 100%

※要件定義:システムに必要な機能や要件を明確にする工程

※設計・環境構築:システムの構造設計とサーバー等の開発環境を準備する工程

中規模開発:700万円〜1,500万円(開発期間:5〜8ヶ月)

主な機能

  • 小規模の全機能に加えて:
  • ・案件進捗管理・パイプライン管理(商談フェーズごとの可視化)
  • ・売上予測・目標管理機能
  • ・メール連携機能(Gmail、Outlook等)
  • ・カレンダー連携・スケジュール管理
  • ・レポート・分析機能(売上推移、担当者別実績など)
  • ・営業活動の詳細記録とタイムライン表示
  • ・モバイル対応(スマートフォン・タブレット)
  • ・部署・チーム別の権限管理
  • ・通知・アラート機能
  • ・ファイル添付・ドキュメント管理

費用内訳

項目 金額 割合
要件定義費用 80万円〜175万円 10〜12%
設計・環境構築費用 160万円〜345万円 22〜23%
開発費用 350万円〜750万円 48〜50%
テスト費用 110万円〜230万円 15〜17%
合計 700万円〜1,500万円 100%

大規模開発:1,500万円以上(開発期間:8〜12ヶ月以上)

主な機能

  • ・中規模の全機能に加えて:
  • ・MA(マーケティングオートメーション)連携
  • ・AI分析・提案機能(商談勝率予測、次のアクション提案)
  • ・複数部署・拠点対応(全社レベルの顧客情報統合)
  • ・高度なレポート・BI機能(カスタムレポート作成)
  • ・他システム連携(会計システム、メール、カレンダー、名刺管理、CTI等)
  • ・API提供(外部システムとのデータ連携)
  • ・カスタマイズ可能なダッシュボード
  • ・ワークフロー自動化(承認フロー、自動通知など)
  • ・セキュリティ強化機能(二段階認証、IPアドレス制限、監査ログ)
  • ・名刺スキャン・OCR機能
  • ・顧客ポータル機能

費用内訳(1,500万円〜2,500万円の場合)

項目 金額 割合
要件定義費用 175万円〜290万円 10〜12%
設計・環境構築費用 345万円〜575万円 22〜23%
開発費用 750万円〜1,250万円 48〜50%
テスト費用 230万円〜385万円 15〜17%
合計 1,500万円〜2,500万円 100%

※MA(マーケティングオートメーション):見込み顧客の育成や選別を自動化する仕組み

※BI(ビジネスインテリジェンス):データを分析し経営判断に役立つ情報を提供するツール

※API(Application Programming Interface):異なるシステム同士を連携させるための接続口

※CTI(Computer Telephony Integration):電話とコンピューターを統合する技術

※OCR(Optical Character Recognition):画像から文字を読み取る技術

ポイント

  • ・開発費用は「人日単価×工数」で算出されます。上記は人日単価50,000円を基準としています
  • ・エンジニアのスキルレベルや地域により、人日単価は40,000円〜80,000円程度の幅があります
  • ・保守・運用費用は別途、月額15万円〜80万円程度が目安です
  • ・既存システムとの連携が必要な場合は、連携先1システムあたり50万円〜200万円程度の追加費用がかかることがあります
  • ・要件の複雑さや変更の多さによって、上記金額から変動する可能性があります

2. 無駄なコストを削減する方法

コスト削減方法

システム開発において、コストを削減するためには、いくつかのポイントに注目する必要があります。

以下は、無駄なコストを抑え、効率的に開発を進めるための方法です。

(1)明確な要件定義を行う

要件定義が不明確だと、開発途中で機能の追加や変更が発生し、費用が大幅に増加するリスクがあります。要件定義の精度を高めることが、コスト抑制の最重要ポイントです。

要件定義で具体的に決めるべきこと

機能要件

  • ・「顧客情報を管理したい」ではなく、「顧客情報は企業名、担当者名、部署、役職、電話番号、メールアドレス、住所、業種、従業員数、年商を管理する」といった具体的な項目レベルまで詰める
  • ・各機能の操作フロー(どの画面からどのボタンを押してどうなるか)
  • ・権限設定(誰がどの情報を見られるか、編集できるか)
  • ・データの登録・編集・削除のルール

非機能要件

  • ・想定利用者数(同時アクセス数)
  • ・データ保存期間・容量
  • ・レスポンス速度の目標(◯秒以内に画面表示など)
  • ・セキュリティレベル(SSL通信、バックアップ頻度など)

業務フローの整理

  • ・現状の業務フローを図式化する
  • ・システム導入後の業務フローを明確にする
  • ・システム化する範囲と、人が行う範囲を明確に区別する

要件定義を開発会社に依頼する場合のポイント

開発会社に要件定義から依頼することも一般的ですが、その場合でもクライアント側で準備すべきことがあります。

クライアント側が事前に整理すべきこと

  • ・システム導入の目的:「営業報告を効率化したい」「顧客対応の漏れをなくしたい」など、何を解決したいのかを明確にする
  • ・現状の課題:今の業務で困っていること、時間がかかっていることを具体的にリストアップする
  • ・関係者のリスト:システムを使う部署・役職・人数を整理する
  • ・既存システムの情報:連携が必要な既存システムがあれば、その仕様書やマニュアルを準備する
  • ・予算と納期の目安:「◯◯万円以内で◯月までに」という制約を伝える

要件定義段階で開発会社と確認すべきこと

  • ・機能ごとの優先順位づけ(必須機能 / あれば便利な機能 / 将来的な拡張機能)
  • ・各機能の実現方法の選択肢とコストの違い
  • ・要件の曖昧な部分を放置せず、その場で質問・確認する
  • ・プロトタイプ(画面イメージ)を見ながら認識をすり合わせる

要件定義後の変更を減らすコツ

  • ・要件定義書は必ず複数の関係者(経営層、現場担当者、IT部門)で確認する
  • ・「こういう使い方もあるかも」という想定シナリオを複数用意して、システムで対応できるか検証する
  • ・開発開始前に要件定義書への合意・承認プロセスを設ける

要件定義の精度が高ければ高いほど、後の手戻りが減り、結果的に開発コストを抑えることができます。

(2)MVP(最小限の機能)で小さく始める

最初からすべての機能を開発するのではなく、最小限の機能(MVP: Minimum Viable Product=実用最小限の製品)に絞って開発を進めることは、無駄なコストを削減するための有効な手段の一つです。

なぜ小さく始めた方がいいのか

実際に使ってみないと本当に必要な機能は分からない

企画段階で「必要だ」と思った機能が、実際の運用ではほとんど使われないケースはよくあります。逆に、想定していなかった機能が現場から強く要望されることもあります。小さく始めて実際の使用状況を見ることで、本当に投資すべき機能が明確になります。

初期投資を抑えて早期に効果を確認できる

大規模開発で1年後にリリースするより、3ヶ月で基本機能をリリースして使い始める方が投資回収が早くなります。早期にシステムを使い始めることで、業務改善の効果を先に得られます。また、「このシステムは使えない」と判断した場合も、損失を最小限に抑えられます。

ユーザーの学習コストを下げられる

最初から多機能すぎると、現場が使いこなせず定着しないリスクがあります。シンプルな機能から始めて段階的に拡張する方が、ユーザーの習熟度も上がりやすく、システムの定着率も高まります。

要件変更のリスクとコストを削減できる

開発期間が長いほど、途中で「やっぱりこうしたい」という変更が発生しやすくなります。すでに作った機能を作り直すコストは、最初から作るコストの2〜3倍かかることもあります。小さく始めれば、変更による手戻りも少なくて済みます。

(3)既存ツールやクラウドサービスの活用

ゼロから開発するよりも、既存のツールやクラウドサービスを活用することでコスト削減が可能です。

例えば、Salesforceなどのクラウドサービスを利用することで、インフラ構築やメンテナンスにかかるコストを大幅に削減できます。

また、オープンソースソフトウェアや汎用フレームワークを活用することで、開発工数を削減し、費用を抑えることができます。

(4) 補助金・助成金を活用してコストを削減する

システム開発費用の一部を国や自治体の補助金で賄うことができます。ただし正直に言うと、申請には専門知識と相応の工数が必要で、不採択のリスクもあります。それでも数百万円~数千万円規模のコスト削減が見込めるため、大規模開発では十分に検討する価値があります。

主な補助金制度(2025年版)

補助金名 補助額 補助率 特徴
IT導入補助金 5万~450万円 1/2~2/3 既製ITツール導入向け。フルスクラッチ開発は対象外
ものづくり補助金 750万~4,000万円 1/2~2/3 オーダーメイド開発も対象。申請が複雑
中小企業新事業進出補助金 750万~9,000万円 1/2 新規事業展開向けのシステム構築。事業再構築補助金の後継制度
小規模事業者持続化補助金 50万~250万円 2/3 従業員5名以下の小規模事業者向け。申請しやすい

活用時の注意点

  • ・申請には専門的な事業計画書作成が必要で、自社対応には相応の工数がかかる
  • ・採択から入金まで数ヶ月かかる(後払い方式)
  • ・不採択リスクがあるため、補助金前提の資金計画は危険
  • ・採択率を高めるため、補助金申請の専門家へ相談することを強く推奨

補助金活用を検討される場合は、申請サポートの実績がある専門企業への相談が成功の鍵となります。弊社では、補助金申請支援を専門とするパートナー企業と提携しており、申請書類の作成から採択後のフォローまで一貫したサポートをご提供できます。システム開発と補助金活用を併せてご検討の際は、お気軽にご相談ください。

(5) 相見積もりをとる

複数の開発会社から見積もりを取得することで、価格の適正性を判断し、コスト削減につながられます。ただし、単純に「安い会社を選ぶ」だけでは失敗リスクが高まります。

コストを抑えて開発することに越したことはありませんが、その開発会社のプロジェクトへの理解が低く、安い金額になっている可能性もあります。

金額だけでなく、提案書の中でどれだけ正確にプロジェクトを理解しているか、どのようなメンバーで対応するのかや開発体制など、その他の項目もチェックします。また費用相場からあまりにもかけ離れた安い金額は、どこかに皺寄せがいっている可能性もありますので、注意が必要です。

3. システム開発の費用構成と注意点

システム開発の費用構成と注意点の画像

システム開発の費用は、「設計費」「開発費」「テスト費用」「運用・保守費用」など、いくつかの要素で構成されます。それぞれのフェーズで発生するコストを明確にし、見積もり時点で確認しておくことが重要です。

また、運用後に発生する保守費用や、必要に応じたシステムのアップデート費用も計画に含めておくと、予算オーバーを防げます。

低価格開発の落とし穴

コストを抑えたいという気持ちは当然ですが、安さだけで開発会社を選ぶと、思わぬ問題が発生することがあります。

オフショア開発(海外への開発委託)の課題

オフショア開発は人件費が安いため、見積もり金額が国内開発の50〜70%程度になることもあります。しかし、日本人にとっては「当たり前」と思っていることが、文化や商習慣の違いから正しく伝わらないケースが多く見られます。

たとえば、「使いやすい画面にしてください」という指示に対して、日本人エンジニアであれば暗黙的に理解できる「ビジネス用途での使いやすさ」(シンプルな配色、迷わないボタン配置、エラー時の丁寧なメッセージなど)が、オフショアでは伝わりきらないことがあります。結果として、「仕様書通りには作られているが、なんだか使いづらい」「イメージと違う」というシステムが納品されることになります。

日本人のブリッジエンジニア(日本とオフショア開発チームの橋渡し役)を配置している場合でも、仕様書に明記されていない「行間を読む」部分や、「現場の実務感覚」まではカバーしきれないのが実情です。このような認識のズレを修正するための手戻りが発生すると、結局は追加費用と納期遅延につながります。

国内でも格安な開発会社のリスク

国内の開発会社でも相場より大幅に安い見積もりを出すところがあります。しかし、費用が低いということは、どこかに皺寄せが行っている可能性を考えるべきです。

考えられる皺寄せの例:

  • ・経験の浅いエンジニアが担当している
  • ・テスト工程の時間が十分に確保されていない
  • ・要件定義や設計の工数を削っている
  • ・プロジェクトマネージャーが複数案件を掛け持ちしており、細かいフォローができない
  • ・ドキュメント(設計書、マニュアル等)が不十分

これらは直接的には見えませんが、開発後の品質に大きく影響します。たとえば、テスト工数が不足していれば、リリース後に多数のバグが見つかり、その修正対応に追われることになります。要件定義が不十分であれば、「こういう動きをすると思っていたのに違う」という認識のズレが頻発します。

安さを重視しすぎると、開発のスピードと品質のバランスが崩れ、結果的に追加費用や手戻りで高くつくことがあります。適正なコストで、信頼できる開発会社を選ぶことが、成功への近道です。

まとめ

システム開発の費用相場を理解し、無駄なコストを削減するためには、要件定義やプロジェクト管理、適切なリソースの選択が重要です。

MVPを導入し、無駄を省いた開発プロセスを実践することで、コスト効率を高めつつ、高品質なシステムを構築できます。

費用と品質のバランスを取りながら、企業の成長に貢献するシステム開発を目指しましょう。

Author Profile

オプスイン編集部
オプスイン編集部
東京都のwebアプリ、スマートフォンアプリ開発会社、オプスインのメディア編集部です。
・これまで大手企業様からスタートアップ企業様の新規事業開発に従事
・経験豊富な優秀なエンジニアが多く在籍
・強みはサービス開発(初期開発からリリース、グロースフェーズを経て、バイアウトするところまで支援実績有り)
これまでの開発の知見を元に、多くのサービスが成功するように、記事を発信して参ります。

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