【2025年版】位置情報アプリ開発ガイドライン-活用事例、仕組みや費用相場、設計時の注意点まで-
2025年現在、身の回りにある様々なアプリに位置情報機能を搭載しています。弊社でも様々なアプリで位置情報機能の実装の実績があります。弊社で開発した実績では、旅行先で現地の方と交流できるSNSアプリや、現在地から近くのセラピストに派遣を依頼できる出張マッサージアプリ、最近ではフィッシング大会のアプリで大会エリアから外れた際のアラート機能に位置情報機能が使われているケースもあります。
顧客のニーズに応じたサービス提供が鍵となり、適切なタイミングで適切な情報を提供することで、ユーザーの利便性の向上、集客力の向上やリピーター獲得につながります。本記事では、位置情報アプリ開発の仕組みやメリット、外部に委託して開発した場合、開発費用はいくらくらいかかるのか全般的にお役立ちいただける情報をお伝えします。
1. 位置情報データ活用の重要性
1-1. 位置情報データの価値
位置情報データとは、スマートフォンからGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)やWi-Fiなどを通じて取得されるユーザーの移動履歴や現在地情報のことです。位置情報データを活用することで、その時、その場所で最適なサービスの提供が可能になり、ユーザーの満足度を大きく上げることができます。そして、様々なユーザーのニーズに応えることが可能です。詳しくは以降でご紹介します。
1-2. 活用事例
位置情報データの活用事例として、以下のような取り組みが進んでいます。
- ユーザーの現在地周辺の情報提供(飲食店、土産店、イベント情報の配信)
- 行動履歴を基にしたパーソナライズドツアーの提案
- 人の流れを分析し、観光スポットの混雑回避を促進
- 近くの施設や店舗のクーポン配信による来店促進
- 訪日外国人向けのナビゲーション&翻訳機能
2. 位置情報機能の仕組み
ユーザーの位置情報取得には、複数の手法を組み合わせて取得するのが現実的です。位置情報取得でまず思い浮かぶのは、GPSかと思いますが、屋内や高層ビル間など環境によって、測位に時間がかかるケースもあります。
A-GPS(Assisted GPS:GPS補強システム)というWi-Fiや携帯電話基地局の情報を組み合わせてGPSを補強する技術が標準的です。ただ様々なアプリにおいてA-GPSが良いというわけではなく、利用シーンや予算、既存インフラなどに影響して、最適な測位技術は変わります。状況によっては、Wi-Fi測位、Bluetoothを利用したiBeacon技術、基地局測位が有効な場合もあります。
アプリ側のフローとしては、以下のような流れになります。
- 位置情報API(Application Programming Interface:アプリケーション間での情報のやり取りを行うためのインターフェース)呼び出し
- デバイス測位(GPS/Wi-Fi/基地局)
- 座標データ取得(緯度・経度・精度・タイムスタンプ)
- データ前処理・検証
- 暗号化・署名
- サーバーへHTTPS送信
開発にあたっての注意点
ユーザーの位置情報は非常にセンシティブな情報です。プライバシーポリシーの策定やユーザー同意の取得、法的コンプライアンスの事前準備が必要です。
プライバシーポリシーの策定
- 位置情報の取得目的を明記
- 利用方法・保存期間を記載
- 第三者提供の有無を明示
ユーザー同意の取得
- 個別かつ明確な同意が法的に必須
- アプリ初回起動時の許可ダイアログ
- OS(Operating System:コンピューターの基本ソフトウェア) レベル(iOS/Android)での位置情報許可
- アプリレベルでの利用目的説明と同意
法的コンプライアンス
- 個人情報保護法への準拠
- 通信の秘密(電気通信事業法)への配慮
3. 位置情報アプリ開発のメリット
3-1. ユーザーへのリアルタイム情報提供
現在地に応じたおすすめスポットの表示
例えば、「現在地から徒歩5分以内のおすすめカフェ」など、ユーザーの現在地を基に適切な情報を提供できる。
天候や時間帯に応じたプッシュ通知
雨の日には屋内施設を、夕方には夜景スポットを提案するなど、リアルタイムで情報を最適化。
緊急時の通知
災害情報や交通情報をリアルタイムで配信し、ユーザーの安全確保に貢献。見守りサービスでは、緊急時トラブルに発展しないように通知。
3-2. データ分析によるターゲティング強化
ユーザーの訪問履歴データを活用
過去に訪れた観光地の履歴をもとに、次に訪れる可能性が高い場所を予測し、適切な情報を提供。ユーザーの興味・関心を分析し、最適なプランをレコメンド。
外国人観光客向けのターゲティング
訪日外国人の行動パターンを分析し、文化や言語に応じたカスタマイズ情報を提供。
3-3. 混雑状況の可視化
リアルタイム混雑データの提供
各スポットの混雑状況を可視化し、ユーザーの分散を促進。
ピークタイムの予測と回避策の提案
AI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用し、時間帯別の混雑傾向を分析して、混雑を避けるルートを案内。
人流データを活用したエリアマーケティング
ユーザーの動きを分析し、適切なプロモーションを実施。
4. 位置情報アプリの開発機能と活用方法
4-1. 位置情報を活用したアプリの主な機能
位置情報アプリを開発する際には、以下の機能を搭載することで、利便性を向上させることができます。
- GPS連携によるナビゲーション機能
- 各スポット、店舗のリアルタイム情報提供やレコメンド表示
- 混雑情報のリアルタイム配信
- 多言語対応(訪日外国人向け観光アプリ)
- SNS(Social Networking Service:ソーシャルネットワーキングサービス)との連携(インスタ映えスポットの紹介)
- デジタルクーポンの配信
- AIを活用したレコメンド機能
- 災害情報や緊急時の通知機能
4-2. 活用方法の具体例
今、人気のアプリで位置情報機能を活用したサービスを3つ例としてご紹介します。
タクシー配車アプリ「GO」
アプリで配車依頼をして、現在地の位置情報から乗車位置をマップ上に指定します。タクシーは指定された場所に向かうので効率的でスピーディな配車が可能です。またユーザーからは向かっているタクシーの位置もマップで確認することができ、タクシーの到着時間もある程度把握することができるなど、ユーザーの利便性も高いです。アプリ内決済も可能です。
位置情報こども見守りサービス「みてねみまもりGPS」
子供のための防犯サービスです。学校と自宅の行き帰りでトラブルに発展しないように、学校への到着時、学校からの出発時、保護者のスマホアプリに通知されます。またみまもり範囲から外れた場合も保護者へ通知します。子供は小型のGPS端末を持ち、保護者のスマホと繋がります。ボイスメッセージの送受信も可能です。
ホテル検索/宿泊予約アプリ「じゃらん」
https://apps.apple.com/jp/app/じゃらん/id366264405
宿泊先の検索予約の他、クーポンやレジャー情報を発信するアプリです。位置情報機能により、現在地近くの宿泊施設を検索することが可能です。旅行先で追加で急な宿泊予約の際は便利ですね。
5. 位置情報アプリの開発費用相場
様々なカテゴリのアプリで位置情報機能は実装されています。開発費用はそのアプリの規模、機能数により大きく変動します。小規模のアプリであれば300~600万円の費用で開発することもありますが、ある程度の機能を実装したアプリは1000~2000万円必要なケースもあります。位置情報機能の他にどのような機能が必要かを検討の上、開発会社に見積もり依頼をされることをお勧めします。
6. まとめ
位置情報機能は様々な目的のために活用されています。レジャーやグルメアプリ以外にも配車サービスや物流の業務効率化、災害時の安否確認、防犯まで様々なアプリで利用されています。またユーザーの位置情報の利用について、プライバシーの配慮、コンプライアンス対応も十分な配慮が必要です。
私たちオプスインでは、位置情報機能を活用したサービス開発について具体的な開発・実装のご相談も承っております。企画段階からでもお気軽にご連絡ください。