「API連携」という言葉を、ビジネスの現場やシステム開発の話題で耳にする機会があるでしょう。Webサービスやアプリ開発において、API連携は今や当たり前のように使われている技術です。しかし、「APIとは何か」「API連携で何ができるのか」について、具体的にイメージできる方は意外と少ないのではないでしょうか。この記事では、システム開発の初心者の方にもわかりやすく、API連携の基本的な仕組みやメリット、具体的な活用例を図解を交えて解説します。
API連携とは?引越しサービスで考えてみる
APIとは「システム同士をつなぐ窓口」
API(Application Programming Interface/アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、異なるソフトウェアやシステムがデータや機能を共有するための「接続口」です。
あらかじめ決められたルールに従って情報をやり取りすることで、それぞれのシステムがスムーズに連携できるようになります。
API連携とは、このAPIを使って異なるシステム同士を連携させ、データや機能を共有することを指します。
まず、APIとAPI連携について、できるだけシンプルに理解していきましょう。専門用語だけで説明しても分かりにくいので、身近な例を使って考えてみます。
引越しサービスで理解するAPI
引越しサービスを例に解説します。
- お客さん:引越しを依頼する人
- あなた=A社(引越し会社):荷物の運搬を担当する会社
- B社(電気工事会社):エアコンの取り外し・取り付けを担当する会社
あなたが引越し業を営んでいると想像してください。ある日、お客さんから「来週の土曜日に引越しをお願いしたい。エアコンの移設も必要です」と依頼がありました。
あなたの会社は荷物の運搬は得意ですが、エアコンの取り外し・取り付けは電気工事会社の専門領域です。そこであなたは、提携している電気工事会社に連絡して、作業を依頼します。
このとき、お客さんはあなたの会社だけとやり取りすればよく、電気工事会社と直接やり取りする必要はありません。あなたが窓口となって、裏側で電気工事会社と連携し、お客さんにワンストップでサービスを提供できます。
あなたと電気工事会社の間では、「どの日時に」「どの住所で」「どんな作業が必要か」という情報を、あらかじめ決められたルールに従って共有します。
この企業間の情報連携の仕組みが、システムにおけるAPI連携と同じ考え方です。
図解:引越しサービスのAPI連携イメージ

API連携の具体例:日常で使っているサービス
実は、私たちが日常的に使っているWebサービスやアプリの多くが、API連携を活用しています。
- 食べログ:Google Maps APIを利用して、店舗の位置を地図上に表示
- ニュースアプリ:天気予報APIを利用して、リアルタイムの天気情報を表示
- ブログサービス:YouTube APIを利用して、動画を記事内に埋め込み表示
これらのサービスは、すべての機能を自社で開発しているわけではありません。それぞれの専門企業が提供するAPIを活用することで、効率的にサービスを提供しているのです。
API連携の仕組みをわかりやすく図解
それでは、API連携が実際にどのように動いているのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
API連携の基本的な流れ
API連携は、基本的に以下の4つのステップで動いています。
- システムAがシステムBに「リクエスト(要求)」を送る
- システムBが処理を実行する
- システムBが「レスポンス(応答)」を返す
- システムAが受け取った情報を表示・利用する
言葉だけだと分かりにくいので、具体例で考えてみましょう。
具体例:天気アプリが天気情報を取得する流れ
あなたがスマホの天気アプリで「東京の天気」を見る場合:

- 天気アプリ → 気象API:「東京の今日の天気を教えて」(リクエスト)
- 気象API:データベースで東京の天気情報を検索
- 気象API → 天気アプリ:「晴れ、最高気温25度、最低気温18度です」(レスポンス)
- 天気アプリ:画面に「晴れ 25℃」と表示
この一連のやり取りがAPI連携です。天気アプリは気象データを自社で持っていなくても、気象APIを通じてデータを取得し、ユーザーに情報を提供できます。
図解:リクエスト・レスポンスの流れ
天気アプリ(システムA)
↓
リクエスト:「東京の天気を教えて」
気象API(システムB)
↓
データベースを検索
↓
レスポンス:「晴れ、25度です」
天気アプリ(システムA)
↓
画面に表示:「晴れ 25℃」
ユーザー
補足:APIの種類:REST APIとSOAP API
APIにはいくつかの種類がありますが、現在のWeb開発では主に2つの形式が使われています。
REST API(Representational State Transfer API)
- 現在最も主流のAPI形式
- 軽量で柔軟性が高い
- JSON形式でデータをやり取りするのが一般的
- Web開発やスマホアプリ開発で広く使われている
SOAP API(Simple Object Access Protocol API)
- より厳格なルールに基づくAPI形式
- XML形式でデータをやり取り
- 金融系システムなど、高いセキュリティが求められる場面で使用される
- RESTと比較すると実装が複雑
現在では、REST APIが圧倒的に普及しています。Google Maps API、Twitter API、Stripe APIなど、私たちが日常的に接するWebサービスのほとんどがREST APIを採用しています。
API連携のメリット
ここでは、API連携でシステムを構築する主なメリットについてお話します。
開発コストと期間を大幅に削減できる
API連携の最大のメリットは、開発にかかるコストと時間を大幅に削減できることです。例えば、ECサイトにクレジットカード決済機能を追加したい場合を考えてみましょう。
自社で一から開発する場合
- 決済システムの開発に数ヶ月〜数年
- セキュリティ対策の実装と維持
- クレジットカード会社との契約・審査
- 法律や規制への対応
- 膨大な開発費用と人件費
決済APIを利用する場合
- Stripe APIやPayPal APIを数日〜数週間で実装
- セキュリティはAPI提供元が管理
- 契約手続きも簡素化
- 低コストで導入可能
このように、既存の高機能なサービスをすぐに利用できるため、短期間・低コストでシステムを構築できます。同様に、地図機能(Google Maps API)、メール配信機能(SendGrid API)、AI機能(OpenAI API)なども、自社開発すれば膨大なコストがかかるものを、API連携で手軽に導入できるのです。
業務効率化・自動化が実現できる
API連携は、社内システム間でのデータ連携にも活用できます。これにより、業務の効率化や自動化が実現できます。
具体例
勤怠管理システム × 給与計算システム
- 勤怠データを手入力でコピーする必要がなくなる
- 勤怠管理システムから給与計算システムへ自動でデータ連携
- 人的ミスを防ぎ、給与計算の時間を大幅に短縮
ECサイト × 在庫管理システム
- 注文が入ると、在庫管理システムに自動で反映
- リアルタイムで在庫状況を把握できる
- 在庫切れの商品を販売してしまうミスを防止
CRM(顧客管理)× 営業支援ツール
- 顧客情報を複数システムで共有
- 営業担当者が最新の顧客情報をすぐに確認できる
- 商談履歴や購買履歴が一元管理される
手作業でのデータ入力やコピー&ペーストが不要になり、システム間で自動的にデータが同期されるため、業務スピードが向上し、人的ミスも減らすことができます。
常に最新の機能を利用できる
API連携のもう一つの大きなメリットは、API提供元がサービスを改善・アップデートすれば、自動的に最新版の機能を利用できることです。
例えば、Google Maps APIを利用している場合、Googleが地図データを更新したり、新機能を追加したりすれば、自社のシステムでも自動的にそれらの改善が反映されます。自社でメンテナンスする必要はありません。
これは特に、技術の進化が早い分野(AI、決済、セキュリティなど)において大きなメリットとなります。専門企業が常に最新の技術を提供してくれるため、自社は本来の事業に集中できるのです。
API連携のデメリット・注意点
API連携には多くのメリットがありますが、注意すべき点も理解しておく必要があります。
連携先サービスへの依存が生じる
API連携を活用すると、外部サービスに依存することになります。これが最も大きな注意点です。
API提供元の仕様変更
- API提供元が仕様を変更した場合、自社システムも修正が必要になることがある
- 大規模な変更の場合、対応に時間とコストがかかる可能性がある
連携先のトラブルの影響
- API提供元のサーバーがダウンすると、自社サービスにも影響が出る
- 例:決済APIが停止すれば、ECサイトで決済ができなくなる
サービス終了のリスク
- API提供元がサービスを終了する可能性がある
- その場合、代替サービスへの移行作業が必要になる
対策として考えられること
- 重要な機能については、複数のAPI提供元を検討しておく
- 主要なAPI提供元(Google、AWS、Stripeなど大手企業)を選ぶ
- API提供元の利用規約や変更履歴を定期的に確認する
- 可能であれば、重要な機能は代替手段も用意しておく
とはいえ、多くの企業がAPI連携を活用してビジネスを展開している現状を考えれば、適切に管理すれば大きな問題にはならないと考えられます。
API連携の料金体系
API連携を検討する際、料金体系を理解しておくことも重要です。ここでは、一般的なAPIの課金方式について解説します。
従量課金制が基本
多くのAPIサービスは、使った分だけ料金が発生する「従量課金制(Pay-as-you-go)」を採用しています。
従量課金制の特徴
- 初期費用や月額固定費が不要なケースが多い
- 利用量が少なければ低コスト
- 利用量が増えれば料金も増加
- 使わない月は料金がかからない
自社で同じ機能を開発する場合と比較すれば、API連携は圧倒的に低コストで導入できます。
APIによって課金単位が異なる
APIの種類によって、課金の単位や計算方法が異なります。主なパターンを見ていきましょう。
呼び出し回数型
APIを呼び出した回数に応じて課金されるタイプです。多くのWebサービス系APIがこの方式を採用しています。
データ量型
処理したデータの量(トークン数など)に応じて課金されるタイプです。AI系のAPIでよく見られる課金方式です。
取引額型
決済額など、取引金額に対する手数料として課金されるタイプです。決済系APIに多い課金方式です。API呼び出し自体には課金されず、実際の取引額に対して手数料が発生します。
無料枠・無料プランも
多くのAPIサービスでは、無料で利用できる枠(無料利用枠)が設定されています。小規模なサービスや個人開発であれば、無料枠の範囲内で十分に利用できるケースも多くあります。また、テスト・開発段階では無料枠内で試せるため、実際の費用感を確認してから本格導入を判断できます。
まとめ:API連携は現代のシステム開発に不可欠
この記事では、API連携について初心者の方にもわかりやすく解説しました。最後に重要なポイントをまとめます。
API連携とは
- 異なるシステム間でデータや機能を共有する仕組み
- 引越しサービスのように、それぞれの得意分野を活かして連携する
- あらかじめ決められたルールに従って情報をやり取りする
API連携のメリット
- 開発コストと期間を大幅に削減できる
- 業務効率化・自動化が実現できる
- 常に最新の機能を利用できる
API連携の注意点
- 連携先サービスへの依存が生じる
- 仕様変更やトラブル、サービス終了のリスクがある
- ただし、適切に管理すれば大きな問題にはならない
料金体系
- 従量課金制が主流で、使った分だけ支払う
- APIによって課金単位が異なる(呼び出し回数、データ量、取引額など)
- 無料枠が豊富で、小規模利用なら無料で使えることも多い
API連携は、現代のシステム開発において欠かせない技術となっています。私たちが日常的に使っているサービスの多くが、API連携を活用して効率的にサービスを提供しています。
システム開発を検討されている方は、すべての機能を自社で開発するのではなく、API連携を活用することで、より短期間・低コストで高品質なサービスを構築できる可能性があります。オプスインでは、Webアプリ開発、スマホアプリ開発、社内システム開発など、様々なAPI連携を活用したシステム開発の実績があります。API連携を活用したシステム開発をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
