ECサイトを立ち上げたい、あるいは今の運用方法を見直したいと考えたとき、ECサイトのを仕組みの選択かと思います。
初期費用を抑えて素早く始めたいのか、カスタマイズ性を重視したいのか、将来的な拡張性やプラットフォーム依存のリスクまで見据えるのかによって、最適な選択肢は変わります。
BASE、Shopify、EC-CUBE、フルスクラッチにはそれぞれ明確な向き・不向きがあり、選定を誤ると後からコストや運用負荷が大きく膨らむ可能性もあります。本記事では、4つのECサイト開発手法を費用、開発期間、自由度、向いている企業規模の観点から比較し、自社に合った選び方をわかりやすく解説します。
どのようにECを行うか
ECサイトでビジネスを展開する方法は、大きく分けて「モール型」と「自社EC」の2つがあります。楽天市場やAmazonといったモール型は集客力が魅力ですが、手数料の負担や顧客データの制約といった注意点もあります。一方、自社ECは初期の集客に工夫が必要ですが、利益率の向上やブランディングの自由度など、長期的なメリットが多いのが特徴です。本記事では、自社ECサイトを開発・構築する際の4つの手法(BASE、Shopify、EC-CUBE、フルスクラッチ)について、それぞれの特徴や向いている企業規模、費用感などを詳しく解説します。
ECサイトの「開発」と「構築」の違い
ECサイトに関する情報を調べていると、「開発」と「構築」という言葉が使われています。この2つの言葉には、以下のような違いがあります。
- ● 「構築」:既存のサービスやパッケージを使ってECサイトを立ち上げること
- ● 「開発」:独自機能を実装する、カスタマイズを加えるなど、システム面での作り込みを伴うこと
ただし、実務ではこれらの言葉が明確に使い分けられているわけではありません。本記事では、既存サービスの利用からカスタマイズを伴う独自開発まで、幅広く「ECサイト開発」として扱います。
なぜ自社ECサイトを開発するのか?モール型との違い
ECサイトを始める際、まず検討するのが「楽天市場やAmazonといったモール型に出店するか」「自社でECサイトを開発するか」という選択ではないでしょうか。
モール型(楽天・Amazon)の特徴
モール型ECには以下のような特徴があります。
- 集客力が強い:楽天市場は月間約6,600万人以上、Amazonは約6,700万人の利用者がおり(出典元:eccLab(ニールセン調査、2024年5月国内モールユーザー数、Amazon6,724万人、楽天市場6,631万人、Temuが急伸し3,106万人 -https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/96543)、「まずモールで検索する」というユーザー行動が定着しています
- 初期の信頼性が高い:「楽天だから安心」「Amazonだから買う」という心理的な安心感があります
- ただし手数料が高い:月商100万円の場合、楽天市場で約13〜15万円(システム利用料・決済手数料・ポイント原資・月額出店料の合計)、Amazonで約8〜15万円の手数料が発生します
自社EC開発のメリット
一方、自社でECサイトを開発することには、以下のようなメリットがあります。
①利益率が高い(手数料がかからない)
モール型では売上に応じた手数料が継続的に発生しますが、自社ECではこれらのコストを抑えることができます。長期的に見ると、大幅なコスト削減につながります。
②顧客データを資産化できる
モール型では顧客情報の多くをモール側が保有しており、自社で自由にマーケティングに活用することが難しい場合があります。自社ECであれば、顧客の購買履歴や行動データを100%自社で管理でき、メール配信やリターゲティング広告、CRM分析などに活用できます。
③ブランディングの自由度が高い
モール型ではデザインやレイアウトに制約がありますが、自社ECではブランドの世界観を自由に表現できます。価格競争ではなく、ブランド価値で勝負することが可能になります。
④独自機能を実装できる
会員ランク別の価格設定、定期購入、複雑な在庫管理など、ビジネスに合わせた独自機能を実装できます。
⑤長期的な事業資産になる
顧客リスト、購買データ、サイトコンテンツなどが自社の資産として蓄積されます。モールに依存しない、安定したビジネス基盤を構築できます。
実際の戦略:モール型と自社ECの併用
多くの企業が採用しているのが、モール型と自社ECを併用する戦略です。
- ● モール型:新規顧客獲得のチャネルとして活用
- ● 自社EC:獲得した顧客のファン育成、リピーター獲得に注力
このように役割を分担することで、それぞれのメリットを活かすことができます。
ECサイト開発の4つの手法を徹底比較
自社ECサイトを開発する方法は、大きく分けて4つあります。それぞれの特徴や費用感、向いている企業規模などを見ていきましょう。
開発手法の全体像
ECサイト開発の主な手法は以下の4つです。
- ● BASE(小規模向けASP)
- ● Shopify(中規模向けASP)
- ● EC-CUBE(オープンソース)
- ● フルスクラッチ(完全独自開発)
ASP(Application Service Provider)とは、インターネット経由で利用できるクラウド型のサービスのことです。Gmailのように、ソフトウェアをインストールせずにブラウザ上で利用できる仕組みです。
比較表:開発手法別の特徴
| 項目 | BASE | Shopify | EC-CUBE | フルスクラッチ |
|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 無料 | ほぼゼロ | 50万円〜500万円 | 1,000万円〜数億円 |
| 月額費用 | 無料〜16,580円 | 3,650円〜368,000円 | サーバー代のみ | 保守費用(年間数百万円〜) |
| 販売手数料・取引手数料 | 決済手数料 3.6%+40円+サービス手数料 3% (スタンダードプラン) | カード手数料 3.25~3.55% | なし | なし |
| 開発期間 | 数日 | 数日〜数週間 | 3〜6ヶ月 | 6ヶ月〜1年以上 |
| カスタマイズ自由度 | 低い | 中(制約あり) | 高い | 完全に自由 |
| プラットフォーム依存 | あり | あり | なし | なし |
| 向いている規模 | 小規模 | 小〜中規模 | 中〜大規模 | 大規模 |
参照元:BASEの料金プラン・手数料 – 無料で簡単なネットショップ作成サービスBASE
参照元:Shopifyの料金プラン – 各プランの詳細方法と比較
【手法①】BASE|小規模ECに最適な無料サービス
BASEは、日本発の無料ECサイト構築サービスです。「誰でも簡単にネットショップを開設できる」をコンセプトに、初心者でも使いやすい設計になっています。
BASEの特徴
- ・完全無料でスタート可能(スタンダードプラン):初期費用・月額費用がかからず、売上が発生したときのみ手数料が発生します
- ・日本市場に特化:決済方法やサポートが日本語に対応しており、国内のEC運営に最適化されています
- ・シンプルで初心者でも使いやすい:専門知識がなくても、直感的な操作でECサイトを立ち上げられます
メリット
- ・初期費用ゼロで始められるため、リスクを最小限に抑えられます
- ・専門知識不要で、数日あればECサイトを公開できます
- ・Instagram連携が強く、SNSからの集客がしやすい設計になっています
注意点
BASEを利用する際には、以下の点を把握しておきましょう。
- ・手数料がある:スタンダードプランでは決済手数料3.6%+40円、サービス利用料3%が発生します。
- ・拡張機能が少ない:約80〜90種類のアプリが用意されていますが、Shopifyの13,000種類以上と比べると選択肢は限られます
- ・カスタマイズ性が低い:デザインや機能のカスタマイズには制約があります
- ・海外展開には少し弱いか:英語、外貨対応版もあり、Appで一定の海外対応は可能ですがShopifyほど包括的ではありません。
こんな企業に向いています
- ● 副業や個人事業主として小規模に始めたい
- ● まず無料でECサイトを試してみたい
- ● デザインや機能に強いこだわりがない
【手法②】Shopify|世界標準のECプラットフォーム
Shopifyは、カナダ発の世界最大級ECプラットフォームです。世界175カ国以上で利用されており、グローバル展開を視野に入れた企業に選ばれています。
Shopifyの特徴
- ・世界最大級のECプラットフォーム:月額3,650円から利用でき、世界中で数百万のストアが稼働しています
- ・13,000以上のアプリで機能拡張が可能:決済、配送、マーケティング、レビューなど、必要な機能をアプリで追加できます
- ・グローバル展開に強い:多言語・多通貨対応が標準装備されており、越境ECにも対応しています
メリット
- ・すぐに始められる:テンプレートを選択し、商品を登録すれば、数日〜数週間でECサイトを公開できます
- ・システム保守が不要:セキュリティ対策やシステムアップデートはShopify側が自動で実施するため、運用負担が少なくて済みます
- ・グローバル展開に強い:複数の言語・通貨に対応しており、世界中の顧客に販売できます
- ・拡張性が高い:アプリストア、API、ヘッドレスコマースなど、ビジネスの成長に合わせて機能を拡張できます
Shopifyのカスタマイズ性
Shopifyはある程度のカスタマイズが可能です。
- ・ Liquid(テンプレート言語):Shopify独自のテンプレート言語を使って、デザインやレイアウトをカスタマイズできます
- ・ Shopify API:外部システムとの連携や、独自機能の追加が可能です
- ・ カスタムアプリ開発:自社専用のShopifyアプリを開発することで、標準機能にない独自機能を実装できます
ただし、カスタマイズには制約があります
Shopifyのカスタマイズには、以下のような制約があることを理解しておく必要があります。
- ・ 決済画面の変更は基本的に不可:チェックアウト画面のカスタマイズは、ShopifyPlusプラン以外は制限されています
- ・ 商品オプション数に上限がある:商品バリエーション(色・サイズなど)の組み合わせに上限があるため、複雑な商品構成には対応しづらい場合があります
- ・ 複雑な独自機能は実装しづらい:Shopifyのエコシステム内でのカスタマイズに限定されるため、完全にオリジナルの仕組みを作ることは難しいケースがあります
注意点
- ・ 月額費用が発生:最低でも月額約3,650円〜のコストがかかります
- ・ プラットフォーム依存のリスク:Shopifyのサービスを辞めた場合、システムの再構築が必要になります。長期的な事業継続を考える際には、この点を考慮する必要があります
- ・ 日本独自の機能がやや弱い:代引き決済の対応が限定的、請求書発行機能が標準装備されていないなど、日本の商習慣に完全対応しているわけではありません
- ・ 取引手数料が発生:プランによって3.25%〜3.55%の取引手数料がかかります
こんな企業に向いています
- ● 月商50万円以上を目指している
- ● 海外展開を視野に入れている
- ● 標準機能で十分、または一定範囲のカスタマイズで対応できる
- ● 運用負担を減らし、マーケティングに注力したい
【手法③】EC-CUBE|日本製オープンソースで自由度の高い開発
EC-CUBEは、日本製の無料オープンソースECパッケージです。ソースコードが公開されているため、自社の要件に合わせて自由にカスタマイズできるのが特徴です。
EC-CUBEの特徴
- ・日本製の無料オープンソースECパッケージ:株式会社イーシーキューブが開発・提供しています
- ・ソースコードが公開されており、完全にカスタマイズ可能:PHPの知識があれば、どんな機能でも実装できます
- ・自社サーバーにインストールして使用:レンタルサーバーやクラウド(AWS、Azure等)に自分でインストールして運用します
メリット
- ・ライセンス費用が無料:EC-CUBE本体は無料でダウンロード・利用できるため、初期コストを抑えられます
- ・ソースコードを自由に編集できる(完全な自由度):技術的に実装可能なことであれば、制約なく開発できます
- ・プラットフォームに依存しない(自社資産として保有):サービス終了や大幅な仕様変更のリスクがなく、完全に自社の資産として保有できます
- ・日本市場に最適化:代引き、コンビニ決済、請求書発行など、日本の商習慣に対応した機能をプラグインの利用で実装することが可能です。
- ・PHP(Symfonyフレームワーク)で開発:広く使われている技術スタックのため、エンジニアの確保やナレッジの蓄積がしやすい環境です
EC-CUBEで実現できるカスタマイズ例
EC-CUBEでは、ビジネスの要件に合わせて様々なカスタマイズが可能です。以下に代表的な例を紹介します。
販売促進・マーケティング機能
- ・クーポン機能の拡張:会員ランク別のクーポン配布、期間限定クーポン、商品カテゴリ別の割引設定など
- ・ポイントシステムのカスタマイズ:購入金額に応じたポイント付与率の変動、誕生日ポイント、レビュー投稿ポイントなど
- ・定期購入(サブスクリプション)機能:毎月自動配送・自動決済、配送間隔の選択、スキップ機能など
BtoB向け機能
- ・会員ランク別価格表示:一般顧客、法人顧客、卸売業者など、ログインした会員の属性によって価格を変える
- ・見積もり・請求書発行機能:カートから見積書を自動生成、請求書PDFの自動発行、掛け払い対応
- ・承認フロー機能:購入時に上司の承認が必要な仕組み、部署ごとの予算管理
在庫・物流管理の高度化
- ・複数倉庫管理:拠点ごとの在庫を一元管理し、最寄り倉庫から自動出荷
- ・予約販売機能:発売前の商品を予約受付、入荷予定日の表示
- ・セット商品・バンドル販売:複数商品をセットにして販売、セット内容のカスタマイズ可能
外部システム連携
- ・基幹システム(ERP)連携:受注データを自動で基幹システムに送信、在庫情報をリアルタイム同期
- ・POS連携:実店舗とECの在庫を統合管理、店舗とオンラインのポイント共有
- ・物流システム連携:配送業者の追跡システムと連携、伝票番号の自動取得・顧客への通知
UI/UX・デザイン
- ・ブランド独自のデザイン実装:ブランドの世界観を表現する独自デザイン、完全レスポンシブ対応
- ・検索機能の強化:ファセット検索(複数条件での絞り込み)、サジェスト機能(入力補完)
- ・商品レコメンド:閲覧履歴に基づくおすすめ商品、「この商品を買った人はこれも買っています」
ShopifyとEC-CUBEのカスタマイズ性の違い
ShopifyとEC-CUBEのカスタマイズ性を比較すると、以下のような違いがあります。ShopifyはShopifyのエコシステム内でカスタマイズできます。(制約あり)EC-CUBEは技術的に可能なことなら何でもカスタマイズできるます(制約なし)。Shopifyはプラットフォームが提供するAPIやルールの範囲内でカスタマイズを行いますが、EC-CUBEはソースコードを直接編集できるため、実装の自由度が圧倒的に高いと言えます。
注意点
EC-CUBEを選択する際には、以下の点を把握しておきましょう。
- ・PHP開発の知識が必要:カスタマイズを行うには、PHP(特にSymfonyフレームワーク)の知識が必要です
- ・サーバー環境の構築・保守が必要:自社でサーバーを用意し、セキュリティ対策やシステムアップデートを実施する必要があります
- ・初期構築に時間がかかる:カスタマイズを含めると、3〜6ヶ月程度の開発期間が必要です
- ・無料版にはサポートがない:EC-CUBE本体は無料ですが、公式のサポートは有償です。トラブル時は自社で解決するか、開発会社に依頼する必要があります
こんな企業に向いています
- ● 独自のビジネスロジックや機能が必要
- ● プラットフォーム依存を避け、自社資産として保有したい
- ● 将来的に複雑な機能追加が予想される
- ● エンジニアがいる、または開発パートナーがいる
- ● 初期費用を抑えつつ、自由度の高い開発をしたい
費用目安
- EC-CUBE本体:無料
- カスタマイズ・構築費用:50万円〜500万円
- サーバー・保守費用:年間数十万円〜
【手法④】フルスクラッチ|完全オリジナルのEC開発
フルスクラッチは、既存のシステムやパッケージを一切使わず、ゼロからすべてを独自開発する方法です。最も自由度が高い反面、コストと時間がかかる手法です。
フルスクラッチの特徴
- ・既存のシステムを使わず、ゼロからすべてを独自開発:データベース設計、ビジネスロジック、UI/UXなど、すべてを自社の要件に合わせて設計します
- ・最も自由度が高い開発手法:技術的な制約がなく、どんな機能でも実装可能です
メリット
- ・完全な自由度(どんな機能でも実装可能):既存システムの制約を受けず、ビジネス要件に100%合わせたシステムを構築できます
- ・プラットフォームに依存しない:外部サービスに依存しないため、サービス終了や仕様変更のリスクがありません
- ・競合との完全な差別化が可能:独自のビジネスモデルやユーザー体験を実現でき、競合との明確な差別化が図れます
- ・複雑な基幹システム連携も自由に設計できる:既存の基幹システム(ERP、CRM等)との複雑な連携も、自由に設計・実装できます
注意点
フルスクラッチを選択する際には、以下の点を十分に検討する必要があります。
- ・コストが非常に高い:初期開発費用だけで1,000万円〜、年間の保守費用も必要です
- ・開発期間が長い:要件定義から本番リリースまで、6ヶ月〜1年以上かかることが一般的です
- ・技術的なハードルが高い:システム全体を自社で設計・開発するため、バグやセキュリティ対策も自社で実施する必要があります
- ・運用体制が必須:専任のエンジニアやインフラ担当者を確保し、システムのアップデートやトラブル対応を継続的に行う体制が必要です
こんな企業に向いています
- ● 大規模EC(年商10億円以上)を運営している、または目指している
- ● 既存システムでは実現できない独自のビジネスモデルがある
- ● 複雑な基幹システム連携が必須
- ● 潤沢な予算と開発リソースを確保できる
開発手法を選ぶ際の判断軸
ここまで4つの開発手法を見てきましたが、実際にどれを選ぶべきかは、予算、期間、カスタマイズ要件、技術リソースなど、様々な要素によって変わります。ここでは、判断の軸となるポイントを整理します。
予算と開発期間で考える
予算別の選択肢
- ● 100万円未満:BASE、Shopify
- ● 100万円〜500万円:EC-CUBE
- ● 500万円以上:EC-CUBE、フルスクラッチ
初期投資を抑えたい場合は、ASP型(BASEやShopify)が適しています。一方、ある程度の予算を確保できる場合は、EC-CUBEやフルスクラッチで自由度の高い開発を検討できます。
開発期間別の選択肢
- ● 1ヶ月以内:BASE、Shopify
- ● 3〜6ヶ月:EC-CUBE
- ● 6ヶ月以上:EC-CUBE、フルスクラッチ
すぐに市場に出たい場合は、ASP型が有力な選択肢です。一方、時間をかけて自社に最適なシステムを構築したい場合は、EC-CUBEやフルスクラッチを選ぶことになります。
カスタマイズ要件で考える
標準機能で十分な場合
BASE、Shopify一般的なECサイトの機能(商品登録、カート、決済、配送管理など)で十分な場合は、ASP型が適しています。
ある程度の独自機能が必要な場合
Shopify、EC-CUBE会員ランク別価格、定期購入、複雑な割引ロジックなど、ある程度の独自機能が必要な場合は、Shopifyのアプリやカスタム開発、またはEC-CUBEでの開発を検討します。
完全オリジナルのシステムが必要な場合
EC-CUBE、フルスクラッチ既存のシステムでは実現できない独自のビジネスロジックがある場合は、EC-CUBEまたはフルスクラッチが選択肢になります。
プラットフォーム依存のリスクをどう考えるか
プラットフォーム依存を許容する場合
メリット:運用が楽、初期費用が安い選択肢:BASE、Shopifyシステム保守やセキュリティ対策をプラットフォーム側に任せられるため、運用負担が少なく、マーケティングや販売に集中できます。
プラットフォーム依存を避けたい場合
メリット:自社資産として保有、長期的な安定性選択肢:EC-CUBE、フルスクラッチサービス終了や大幅な仕様変更のリスクを回避し、完全に自社の資産としてシステムを保有したい場合は、オープンソースやフルスクラッチが選択肢になります。
段階的な移行戦略という選択肢
一度選んだ手法をずっと使い続ける必要はありません。事業の成長に合わせて、段階的に移行していく戦略も有効です。
パターン①:小さく始めて、成長に合わせて移行
- ● まずShopifyで立ち上げ(低コスト、短期間)
- ● 売上が伸びたらEC-CUBEにリプレイス
- ● 顧客データを活かしてファン育成
初期はShopifyで素早く市場に出て、売上が伸びてきたタイミングでEC-CUBEに移行することで、プラットフォーム依存から脱却し、より自由度の高い運営が可能になります。
パターン②:ヘッドレスコマースで柔軟性を確保
- ● Shopifyのバックエンド機能を活用
- ● フロントエンドはNext.js等で自由に開発
- ● カスタマイズとコスト削減を両立
ヘッドレスコマースは、Shopifyのバックエンド(商品管理、決済、在庫管理など)を活用しながら、フロントエンド(ユーザーが見る画面)を自由に開発する手法です。Shopifyの運用の楽さを享受しながら、デザインやUXを完全にコントロールできます。
ECサイト開発で活用できるトレンド技術
ECサイト開発では、最新の技術トレンドを取り入れることで、ユーザー体験の向上や運用効率化が期待できます。ここでは、注目すべき4つの技術を紹介します。
ヘッドレスコマース|フロントとバックエンドを分離
ヘッドレスコマースは、フロントエンド(表示部分)とバックエンド(EC機能・データ管理)を分離するアーキテクチャです。
仕組み
- ● フロントエンド(表示)とバックエンド(EC機能)を分離:両者はAPIで連携します
- ● ShopifyやCommerceLayerをバックエンドとして、フロントは自由に開発:ShopifyのAPIを使いながら、フロントはNext.jsやNuxt.jsなどで独自開発できます
- ● UI/UXの自由度が高く、ページ表示も高速:静的サイト生成(SSG)やサーバーサイドレンダリング(SSR)により、高速な表示が可能です
PWA(Progressive Web Apps)|アプリのような体験をWebで
PWAは、Webサイトをネイティブアプリのように動作させる技術です。
特徴
- ● Webサイトをネイティブアプリのように動作させる技術:ホーム画面へのインストール、オフライン対応、プッシュ通知などが可能です
- ● ページ読み込み高速化、オフライン対応、プッシュ通知:ユーザー体験の向上に直結します
以下の記事では、PWAについてより詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
AI・パーソナライゼーション|顧客体験の最適化
AIを活用したパーソナライゼーションは、顧客一人ひとりに最適化されたコンテンツや商品を提案する技術です。
活用方法
- ● AIで顧客ごとに最適化されたコンテンツ・商品を提案:購買履歴、閲覧履歴、行動データをもとに、リアルタイムでパーソナライズします
- ● 商品レコメンド、動的価格調整、AIチャットボット:顧客満足度の向上と売上増加に貢献します
トレンドキーワード
- ● ハイパーパーソナライゼーション:より高度で詳細なパーソナライズ
- ● AIエージェント:ユーザーに代わって購買プロセスを自動化する仕組み
以下の記事では、生成AIの実装や活用について詳しく解説しています。併せてご覧ください。
マイクロサービスアーキテクチャ|柔軟で拡張性の高い設計
マイクロサービスアーキテクチャは、1つの大きなシステムを機能ごとに小さなサービスに分割する設計手法です。
仕組み
- ● 1つの大きなシステムを機能ごとに小さなサービスに分割:各サービスは独立して動作します
- ● 各サービスは独立して開発・デプロイ可能:チームごとに異なる技術スタックを使うこともできます
ECサイトでの活用例
ECサイトを以下のようなサービスに分割します。
- ● 商品検索サービス
- ● 注文サービス
- ● 決済サービス
- ● 在庫管理サービス
これらをAPI連携で1つのECサイトとして機能させます。
メリット
- ● 特定機能だけをスケールアップできる:セール時期に注文サービスだけを増強するなど、柔軟な対応が可能です
- ● 複数ベンダーに機能分担しやすい:サービスごとに異なる開発会社に委託することもできます
- ● 障害の影響範囲を限定できる:1つのサービスが停止しても、他のサービスは稼働し続けます
留意点
- ● 小規模ECには過剰設計になりがち:システムが複雑になるため、運用負荷が増えます
- ● 大規模・複雑なECに向いている:年商数億円以上の規模で真価を発揮します
まとめ|自社に合った開発手法を選択する
ECサイトの開発手法は、事業規模や予算、求めるカスタマイズ性によって最適な選択肢が変わってきます。
小規模でまずは手軽に始めたい場合は、初期費用無料で即日開設できるBASEが適していますが、売上が増えるにつれて手数料負担が大きくなる点には注意が必要です。月商が伸びてきた段階では、いくつかの選択肢が考えられます。豊富なアプリと拡張性を持つShopifyへ移行すれば手数料負担を抑えつつグローバル展開も視野に入れられますし、独自機能や複雑な業務フローが必要になってきた場合はEC-CUBEへの移行も有力な選択肢です。EC-CUBEは初期開発費用がかかるものの、月額ライセンス費や取引手数料が発生しないため、売上規模が大きくなるほど長期的なコスト優位性が高まります。独自の在庫管理や基幹システムとの連携、日本特有の商習慣への対応が求められる場合も、日本製オープンソースであるEC-CUBEは現実的な選択となるでしょう。さらに大規模で独自のビジネスモデルを展開する企業には、完全自由設計が可能なフルスクラッチ開発という選択肢もあります。
重要なのは、初期費用だけでなく月額費用や販売手数料を含めた総コスト、そして将来的な拡張性やプラットフォーム依存リスクを総合的に検討することです。自社の事業フェーズと照らし合わせながら、最適な開発手法を選んでいきましょう。
ECサイト開発に関するご相談はオプスインへ
オプスインでは、EC-CUBE経験エンジニアが在籍しており、お客様のビジネス要件に合わせた最適なECサイト開発をご提案いたします。
オプスインのサポート内容
- ● 要件定義からシステム設計、開発、保守まで一貫サポート
- ● 独自機能のカスタマイズ開発
- ● 基幹システムとの連携
- ● インフラ構築・運用(AWS、Azure、GCP)
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