韓国の女性向けショッピングアプリはなぜ若者女性の心を掴むのか？

様々なショッピングサイトやアプリが流通する現在、若者女性はどのようにトレンドファッションを追い、購入しているのか。

日本のお隣、韓国で人気のファッションアプリZ I G Z A G（ジグザグ）。

Z I G Z A Gは10代後半から20代前半の韓国人女性に大人気で、2019年には累計取引額が１兆３０００億ウォン（日本円で１３００億円）にも登りました。

なぜそんなに人気があるのか。日本のファッションアプリ,韓国のファッションアプリと比較し、人気の秘密を探りました。
■参考：뉴스Daum ‘쇼핑몰 추천’ 지그재그, 어떻게 女心 사로잡았나：ショッピングモール推薦ZIGZAGはどのように女心を魅了しているのか

ZigZag(지그재그)とは

出典：APPSTORE

3,500店に登る韓国の女性向けショッピングモールを集めたアプリで、冒頭でもご紹介しましたように、韓国の若い女性なら誰もがインストールしているショッピングアプリです。

対応言語は韓国語と英語ですが、APPSTOREには日本語にも対応して欲しいという口コミも寄せられており、韓国ファッション好きの日本人女性にも人気があります。

 

アプリのメイン画面の紹介

 

今日のおすすめアイテムとフリーワード検索ができます。

お店のランキングが表示されます。

商品カテゴリーごとのアイテム検索と、ZIGZAGのピックアップカテゴリー（季節のトレンドアイテム特集。）を見ることができます。

現在ははコロナウイルスの流行によりコロナ対策のマスクの特集が組まれていました。

お気に入りに追加したアイテムをまとめて見ることができます。

マイページには注文履歴やポイントなどが表示されます。

 

その他の特徴

 
・価格帯や色、商品のカテゴリー（パンツ・アウターなど）を指定して検索できます。
例)보라색（紫）と検索欄に入れると紫色の商品が表示されます。
・気になる商品を押すと出品店のお店のページに飛ぶが、商品をカートに入れる際はzigzagのアプリ内のカートに追加される。お会計はZigZagのアプリ内で一気に出来ため、お店ごとに会員登録する必要がありません。
・ショップのランキングが毎日更新されるため韓国現地での流行を知ることができます。ランキングは、カテゴリーや年代、好みのスタイルを指定することができます。

例）衣類、２０代前半、モダンシックなスタイルを指定すると指定された条件の中でのランキングが表示されます。

画像出典：ZIGZAG

・衣類だけでなくアクセサリーやネイルチップやスマホケースもあります。

このアプリを入れるだけでトータルコーディネイトが可能です。

 

考察

 
ZIGZAGはメインユーザーを10代から30代までの女性に絞っているためアイテムを探しやすいです。

ショッピングモールとしての機能だけではなくトレンドを意識した視覚デザインであるため、まるでインスタグラムを見ている気分になります。

実在する店舗で例えるならばルミネの４・５階やラフォーレ原宿。

ルミネやラフォーレ原宿はフロアごとに年代や性別で店舗が集められているため、何か欲しいアイテムができた時には、ルミネの５階に行けば絶対にお気に入りのデザインのアイテムを見つけることができるという確信があり、買い物がスムーズにできます。

また、同じフロアに同系統のお店が密集しており、ついでに隣の店も見てみようと足を踏み入れるため、相乗効果もあります。

WEAR

　　                                       出典：APPSTORE

 

続いてはコーディネイトのS N Sである日本のアプリ、WEARをご紹介します。

WEARは日本を代表するファッション共有アプリで、2019年7月時点で月間利用者数は1000万ユーザー、月間PV数は5億PVに拡大しています。

WEARでは自分のアカウントを作ってコーディネイトを共有できます。運営会社はZOZO,inc. で、ファッション通販アプリZOZOTOWNのアカウントと連携することができます。
■参考：通販新聞オンライン【ZOZOテクノロジーズの久保田社長に聞く「ウェア」の現状と成長戦略は?㊤】　中国でも「ウェア」が武器に、お手本コーデで差別化図る

 

アプリのメイン画面の説明

 

今日のピックアップ。毎日「今日のタグ」が設定されています。

カテゴリーごとにコーディネートを探すことができ、年代も指定できます。

タイムラインにはフォローした人の投稿が流れます。

ZOZOTOWNでお気に入りに登録したアイテムのコーディネートをチェックできます。

画像出典：WEAR

マイページには、身長や性別が表示されます。

 

その他の特徴

 
・投稿した写真に商品のタグ付けができ、タグを押すとZOZOTOWNアプリに飛び、そのまま購入できます。（ ZOZOTOWNで取り扱いのない店舗に関してもタグ付けはできるもののタグを押すとショップの公式ホームページに飛びます。）
・日本だけではなく中国、韓国、フィリピンなどのユーザーもいます。
・店舗で勤務しているアパレルスタッフのアカウントには公式マークがつきます。（Twitterやインスタで芸能人に公式マークがつく仕組みと同様）アパレルスタッフさんがW E A Rを活用すればお店の宣伝にもつながります。
・プロフィールには身長を設定できるため、洋服の丈感が分かりやすいです。

身長や性別やアイテム、季節を指定してコーディネートのこだわり検索ができるが、自分の好みのスタイルを指定できないため、自分が興味のないコーディネイトも出てきてしまいます。

ZOZOTOWNは韓国通販を取り扱っていないため韓国ファッションが好きな人には物足りません。

 

考察

 
男性・女性・子供（親）とユーザーが広く、SNS型であることがZIGZAGとの一番の違い。

お洒落上級者のコーディネートを見られることは魅力的だが、自分が興味のないスタイルのユーザーもランキングに入ってくるため自分の好きなコーディネートを見つけるのであればインスタグラムで十分という印象を受けました。自分のコーディネートを記録して、共有したい人にとってはニーズがあると言えます。

 

Style Share

 

次にご紹介するStyleShareは韓国版のコーディネイトのSNSアプリです。

コーディネートの共有だけでなく、ショッピングもできます。

先ほどご紹介した、ZIGZAGと WEARを合わせたようなアプリです。

2018年度の取引額は1200億ウォン規模（日本円にして約120億円）にのぼります。

このアプリを開発したのは韓国人の女子大生で、１５歳から２５歳の利用者が全体の77%と若者に人気です。日本語にも対応しており、韓国ファッション好きの日本人と韓国人が利用しています。

参考：ITChosun　Z세대 ‘취향저격’ 스타일쉐어 인기 비결은 “콘텐츠·간편결제 Z世代の好み狙い撃ち　スタイルシェア人気の秘訣は、「コンテンツ・簡単決済」

 

アプリのメイン画面の説明

 

タイムラインではフォロー中のアカウントの投稿だけでなく、StyleShare編集者が書いた韓国のトレンドに関する記事を読むことができます。

ショッピングをすることもできますが、StyleShare内で購入できる商品はほとんどなく、商品を押すと上の画像のように出てきます。

販売店のホームページに飛ぶため、商品を買うためにはお店ごとに会員登録が必要です。

 

画像出典：StyleShare

自分のコーディネートをシェアすることもでき、ハッシュタグや商品のタグを付けることができます。

 

その他の特徴

 
・コーディネイトの投稿スタイルはインスタグラムと似ているため（ハッシュタグや商品タグの付け方等）サクサク見ることができて見やすいですが、韓国の人が投稿したコンテンツは、日本語への翻訳機能がないため商品リンクを押しても日本人は購入が難しいです。
・韓国ファッションに特化しています。
・メインユーザーは日本人、韓国人の10代後半から20代前半の男女であるため、現地の最新の流行が分かります。
・ファッションだけでなくコスメも取り扱っているため韓国のメイクのトレンドも追うことができます。

 

考察

 
韓国の会社（StyreShare）が運営しているため、アプリ内の全てが日本語訳できるわけではなく、日本人が買い物をするには使いにくいです。

気に入った商品が見つかっても結局買い物できないため、韓国のトレンドコーディネートをチェックするのであればインスタグラムがあれば十分という結論に至りました。

StyleShareもZIGZAGのように会員登録をアプリで行うだけで全ての買い物ができ、尚且つ日本語に対応していればアプリをインストールする需要があると思います。

 

３つのアプリを比較して気づいたこと

３つのファッションアプリを比較して気づいたのは、コーディネイトのSNSは若者女性にとってインスタグラムで十分であるということです。

実際、楽天インサイトのファッションに関するアンケートではファッションの参考にしている情報源として、20代女性の６割の人がインスタグラムと回答しています。

■参考：楽天インサイト「ファッションに関する調査」

 

結論〜日本にこんなアプリがあったら便利かも〜

日本には大規模なショッピングアプリやファッションSNSは流通していますが、ZIGZAGのようにユーザーの範囲を限定したショッピングアプリやサイトがないということに気付きました。
例えば、ターゲットを10代後半から20代前半の女性（主に高校生から大学生）に絞った女性向けショッピングアプリ(ZIGZAGの日本バージョン、ZOZOTOWNのユーザーを絞ったバージョン)があれば便利だなと思います。

ファッションブランドは主にルミネの４・５階に入っているようなトレンドブランド（既にファンが多いブランド）や、10代後半から20代前半に人気の韓国ファッション通販ブランドだけを扱うことにより、カスタマーを絞ることができるので出店ブランド側にとっても有利なアプリになると思います。

ファッションのためのSNS機能は付けずに、ZIGZAGのように買い物だけに特化したアプリがあったら、家にいながらルミネで買い物をしているような気分を味わうことができると思いました。

そんなアプリがあったら間違いなく一日中虜になってしまいそうです。