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2025年4月25日

観光業向けアプリ開発の流れ|要件定義からリリースまで徹底解説

「観光客向けにアプリを作りたいけれど、何から始めればいいのか分からない」

「開発会社に相談してみたが、専門用語ばかりでイメージが湧かない」

このような課題を抱える観光業界の事業者様は、決して少なくありません。

近年、地域の魅力をデジタルで届ける観光アプリや、予約・決済・クーポン配信などを搭載したアプリを導入する事例が全国的に増えています。

しかし、アプリ開発には「作って終わり」ではない長い道のりがあり、正しい流れとポイントを押さえて進めることが非常に重要です。

本記事では、観光業の事業者向けに、アプリ開発の一連の流れをわかりやすくご紹介します。事例も交えながら、要件定義からリリース・運用までのポイントを徹底解説します。

 

◆ステップ1:要件定義(目的・ターゲット・要件の明確化)

アプリ開発の第一歩は要求定義、すなわち「なぜそのアプリを作るのか(目的)」「誰のために使ってもらいたいのか(ターゲット)」を明確にすることから始まります。

 

要求定義の一環として、以下のような開発目的が考えられます

・観光客に向けて観光情報をわかりやすく届けたい

・施設の混雑状況や空き状況をリアルタイムで共有したい

・クーポンやスタンプラリーなどの販促をデジタルで実施したい

・外国人観光客に多言語で案内を提供したい

 

また、ターゲットとなる利用者の属性(例:スマホ世代、高齢者、訪日外国人など)によって、必要とされる機能や操作性、ユーザーインターフェースの設計も大きく変わってきます。こうした目的とユーザー像をもとに、求められる機能を洗い出すことで、次のステップである要件定義へとつながります。

 

たとえば、観光アプリでよく見られる機能には次のようなものがあります

・GPS連動による観光地表示とルート案内

・イベント情報やお知らせのプッシュ通知

・施設の混雑状況や開館時間の表示

・チケット予約や電子チケット表示

・地域ポイントやスタンプラリーの管理

・多言語対応の観光案内

・口コミ投稿やレビュー閲覧機能

 

ただし、初期段階から機能を詰め込みすぎるのは禁物です。まずは最小限の機能でスタートし、段階的にアップデートすることで、開発・運用の負担を軽減しながらユーザーにも優しいアプリに育てていけます。

 

こうして整理した要求定義(目的・ターゲット)と要件定義をもとに、画面構成や処理の流れ、さらには非機能要件(例:レスポンス速度やセキュリティ対策など)を具体化していきます。そして、それらを設計フェーズに引き継ぐことで、実際のアプリ開発がよりスムーズに進められるようになります。

 

◆ステップ2:基本設計・詳細設計(システム仕様の設計)

要件定義で整理された機能や非機能要件をもとに、アプリの内部構造を設計していくフェーズです。ここでは「基本設計」と「詳細設計」という2つの工程に分けてシステムを具体化していきます。

 

■基本設計

基本設計では、要件定義で決まった「何を実現するか」を、実装可能なレベルに落とし込む 上流設計フェーズ です。目的は、エンジニア・デザイナー・テスター・発注側が共通理解できるシステムの外観を定義し、詳細設計・実装へスムーズに引き継ぐことにあります。

 

たとえば以下のような内容が含まれます。

  • アプリ全体の画面構成
  • 各画面で実現する機能の概要
  • ユーザー導線や操作フロー
  • 使用するデバイスやOSの対応範囲

 

この段階では、「ユーザーにどんな体験を提供するか」を中心に、開発する機能のイメージを固めます。

 

■詳細設計

詳細設計では、基本設計をもとに、アプリの内部構造や処理内容を技術的に細かく定義します。たとえば以下のような要素が該当します。

 

  • データベース構造の設計(テーブル、カラム、リレーションなど)
  • API仕様や外部サービスとの連携方法
  • 各機能の処理ロジックや条件分岐の定義
  • セキュリティ対策や例外処理の設計

 

つまり、詳細設計は「アプリをどう動かすか」に関わる設計であり、開発者がプログラムを書き始めるための技術的な設計書になります。

 

こうして基本設計と詳細設計をしっかり行うことで、開発工程がスムーズになり、バグの発生や認識のズレも防ぎやすくなります。結果として、品質の高いアプリを効率的に開発できるようになります。

 

◆ステップ3:UI/UX設計(使いやすさの設計)

観光アプリは旅先で使用されることが多いため、直感的で分かりやすい操作性が求められます。

特にスマートフォンに不慣れな方や、通信環境が悪い地域では、複雑な操作や読み込みの遅さがユーザー離脱の原因になります。

 

使いやすいUI/UXのポイントとしては、

・3回のタップ以内で目的の情報にたどり着ける構造にする

・地図と連動した現在地表示や目的地ナビ機能を備える

・オフラインでも最低限の機能が使えるように設計する

・高齢者でも視認しやすいフォントやボタンサイズを使う

・多言語表記で訪日客にも対応できるようにする

 

これらを意識するだけでも、利用者満足度は大きく変わります。

 

◆ステップ4:開発・実装

UI設計が固まったら、いよいよアプリ本体の開発フェーズに入ります。

iOSとAndroid両方に対応するケースが多く、開発期間は通常1ヶ月〜3ヶ月以上かかる場合があります。

 

また、観光事業者が自ら情報を更新できるように、管理画面(CMS)を用意するケースも増えています。これにより、施設情報やイベント情報を自社で簡単に更新でき、情報の鮮度を保つことが可能になります。

 

◆ステップ5:テスト(単体テスト、結合テスト、ユーザー受け入れテスト)

完成したアプリは、すぐに公開できるわけではありません。

さまざまな端末や環境で動作確認を行い、バグや誤表示がないかを徹底的にチェックする必要があります。

 

ここでは、以下の3つのテストフェーズに分けて確認を進めます。

 

■単体テスト

開発した機能を1つずつ個別にテストし、想定通りに動作するかを確認する段階です。

たとえば、「地図が表示されるか」「ボタンを押すと正しい画面に遷移するか」といった機能単位での検証を行います。

 

■結合テスト

複数の機能を組み合わせて動作させたときに問題がないかを確認するテストです。

たとえば、「予約ボタンを押す → 入力画面 → チケットが発行される」といった一連の流れをチェックします。

個々の機能が正常でも、組み合わせることで不具合が起きる可能性があるため、このテストが重要です。

 

■ユーザー受け入れテスト

開発者ではなく、実際の利用者目線で行うテストです。

本番環境に近い状態で、操作性や使いやすさを含めた最終チェックを行います。

例えば「高齢者でも直感的に使えるか?」「通信環境が悪い場所でも致命的なエラーが出ないか?」など、実運用を想定した検証が中心となります。

 

特に、実機検証では以下のようなポイントを重点的に確認しておくと、リリース後のトラブルを防ぎやすくなります。

  • 地図や現在地の表示が正確か
  • プッシュ通知が届くか
  • 予約やチケット機能が正しく動作するか
  • 通信環境が悪い場合でも致命的な不具合が起きないか

 

このように段階を踏んでテストを行うことで、ユーザーに安心して使ってもらえる高品質なアプリへと仕上げていきます。

 

◆ステップ6:ストア申請とリリース

AppleのApp StoreやGoogle Playにアプリを申請し、審査を通過すればいよいよ公開です。

Appleの審査には1〜2週間程度かかることがあるため、イベントやキャンペーンに合わせて公開する場合は、早めの準備が必要です。

 

リリース後は、SNSや観光サイト、現地パンフレットなどでアプリの認知を広げる施策も重要になります。

 

◆ステップ7:運用・保守・アップデート

アプリは公開して終わりではなく、継続的な運用と改善が非常に重要です。

ユーザーの行動データを分析し、より便利な機能やデザインに改善していくことで、継続利用や口コミでの拡散が期待できます。

 

定期的に以下のような施策を行いましょう。

・季節イベントに応じたキャンペーンの配信

・新しい観光地や体験コンテンツの追加

・ユーザーの声をもとにしたUIの改善

・アクセス解析による表示項目の最適化

 

◆まとめ

観光アプリ開発は、「要件定義」から「設計」「開発」「テスト」「リリース」、そして「運用・改善」へと、段階的に進めていくプロセスです。

 

しかし、単に工程を順序通りに進めるだけでは、円滑なプロジェクト進行や満足のいく成果は得られません。発注側にとって本当に重要なのは、各工程の目的と内容、そしてその工程で何が成果物として生まれるのかを正しく理解しておくことです。

 

この理解があることで、開発会社(受託側)との間で生まれがちな「認識のズレ」を減らし、双方が同じゴールを見据えて並走することができます。

 

実際の開発現場では、「完成したシステムが当初のイメージと異なっていた」というトラブルも少なくありません。こうしたトラブルの多くは、工程ごとの確認や合意が不十分なままプロジェクトが進んでしまうことに起因しています。

 

だからこそ、発注者としてプロジェクトの全体像とそれぞれの工程に対する基本的な理解を持っておくことが、納得のいくシステムを実現するための第一歩なのです。プロジェクトを進める上で理解できないところがありましたら、ご遠慮なく私達に聞いてください。 

 

本記事では、観光アプリ開発の流れをステップごとにご紹介してきましたが、実際のプロジェクトでは「どこから手を付ければよいかわからない」「専門用語が多く、開発会社とのやり取りが不安」と感じる方も少なくありません。

 

当社では、目的の明確化から設計・開発・運用まで、専門スタッフが伴走し支援いたします。

貴社の課題や目的に合わせたアプリ開発を、私たちと一緒に形にしていきましょう。

 

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オプスイン編集部
オプスイン編集部
東京都のwebアプリ、スマートフォンアプリ開発会社、オプスインのメディア編集部です。
・これまで大手企業様からスタートアップ企業様の新規事業開発に従事
・経験豊富な優秀なエンジニアが多く在籍
・強みはサービス開発(初期開発からリリース、グロースフェーズを経て、バイアウトするところまで支援実績有り)
これまでの開発の知見を元に、多くのサービスが成功するように、記事を発信して参ります。

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