長年運用しているWebシステムやアプリでは、改修に時間がかかるようになったり、不具合が増えたりといった現象が起きやすくなります。エンジニアから「技術的負債が多い」と報告を受けても、事業側の担当者にとっては何をすべきか判断しにくいのではないでしょうか。
技術的負債を減らす方法の一つが「リファクタリング」です。ただし、目的や優先順位を整理せずに闇雲に始めてしまうと、かえって新たな不具合を生んだり、プロジェクトが頓挫したりするリスクがあります。
本記事では、リファクタリングの進め方、優先順位の付け方、失敗しないためのポイントを、非エンジニアの方にも分かりやすく解説します。リファクタリングで改善できるのか、それともリプレイスを検討すべきなのか、判断するための考え方を整理していきます。
技術的負債の種類や発生原因、AIを活用した解消方法まで全体像を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
リファクタリングとは何か
まず、リファクタリングの定義を押さえておきます。技術的な詳細に深入りしすぎず、「何をする作業なのか」「他の手法とどう違うのか」を整理します。
リファクタリングの意味
リファクタリングとは、外から見える機能は変えずに、内部のコードや設計を改善することを指します。
ユーザーが使う画面や機能は基本的に変わりません。例えば、ECサイトであれば商品検索や購入の流れはそのままで、裏側のプログラム構造だけを整理し直すイメージです。しかし、システムを開発・保守するエンジニアにとっては、修正しやすく、保守しやすい状態になります。
リファクタリングの目的は「見た目の変更」ではなく、「将来の変更に強くすること」にあります。今は問題なく動いているように見えても、内部構造が複雑になっていると、次の機能追加や改修のときに時間がかかったり、予期しない不具合が発生したりします。そうした将来のリスクを減らすために、内部を整理しておくのがリファクタリングです。
リファクタリングとリニューアル・リプレイスの違い
企業担当者にとって重要なのは、「リファクタリング」「リニューアル」「リプレイス」の違いを理解することです。それぞれ目的と適用場面が異なります。
| 手法 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| リファクタリング | 機能は変えずに内部を改善する | 今のシステムを活かしながら改善したい場合 |
| リニューアル | 画面や使い勝手も含めて刷新する | UIや業務フローも見直したい場合 |
| リプレイス | システム全体を作り替える | 既存システムの維持が限界に近い場合 |
リファクタリングは、ユーザーから見た機能や画面には手を加えません。そのため、現場業務への影響を最小限に抑えながら、システムの保守性を高めることができます。一方、リニューアルやリプレイスは、ユーザー体験や業務フロー自体を見直す必要がある場合に選択されます。
リファクタリングで解消しやすい技術的負債
リファクタリングがすべての技術的負債に有効というわけではありません。改善しやすい負債と、リファクタリングだけでは解決しにくい負債があります。ここでは、その違いを整理します。
リファクタリングで改善しやすい負債
リファクタリングで改善しやすいのは、コードの構造や書き方に起因する負債です。
例えば、同じような処理が複数箇所に書かれている場合、修正が必要になったときにすべての箇所を直さなければならず、手間がかかるだけでなく修正漏れのリスクも高まります。また、処理が複雑で影響範囲が分かりにくいコードは、ちょっとした変更が思わぬ不具合を引き起こす原因になります。
変数名や処理名が分かりづらいと、担当者が変わったときに「このコードは何をしているのか」を理解するのに時間がかかります。使われていない古いコードが残っていると、それが今も必要なのか判断できず、削除するのも不安になります。一部の機能だけが肥大化していると、その周辺を触るたびに調査や確認に時間を取られます。そして、特定の担当者しか触れないコードになっていると、その人が不在のときに対応できなくなるリスクがあります。
これらは技術的には「コードが汚い」状態ですが、実務的には次のような影響をもたらします。
修正に時間がかかる。新しい機能を追加したいときや、不具合を直したいときに、まずコードの調査から始めなければならず、想定以上の時間がかかってしまいます。
見積もりがブレる。複雑な構造のため、実際に着手してみないと作業量が分からず、見積もりと実績に大きなズレが生じます。
触るたびに不具合が出る。一箇所を直したつもりが、別の箇所に影響して新たな不具合が発生する、という悪循環に陥ります。
担当者が変わると対応できない。コードの構造が複雑で、書いた本人しか理解していないため、引き継ぎや担当交代が困難になります。
新機能追加のたびに調査工数が増える。既存コードとの関連を調べるだけで時間がかかり、開発のスピードが落ちていきます。
リファクタリングだけでは解決しにくい負債
一方、以下のような状態は、リファクタリングだけでは根本的な解決が難しいケースです。
使用している技術が古すぎる場合、いくらコードを整理しても、その技術自体のサポートが終了していたり、セキュリティ更新が提供されなくなっていたりすれば、リスクは解消されません。セキュリティリスクが高い状態も、単なるコード整理では対処しきれないことがあります。
業務内容が当時と大きく変わっている場合、システムの前提となる設計そのものが現在の業務に合っていない可能性があります。データベース設計に根本的な制約がある場合も、コードをいくら綺麗にしてもデータ構造の限界は変わりません。外部サービスとの連携が難しい場合や、保守できるエンジニアがほとんどいない技術で作られている場合も、リファクタリングだけでは解決が難しいでしょう。
リファクタリングで改善できる部分もあれば、リプレイスを検討すべき部分もあります。重要なのは、最初に見極めることです。
リファクタリングを始める前に確認すべきこと
リファクタリングを成功させるためには、いきなり作業に入るのではなく、事前に現状と目的を整理することが重要です。ここでは、着手前に確認すべき3つのポイントを紹介します。
現在の課題を洗い出す
まず、システムのどこに負債があるのかを具体的に把握します。
どの機能の改修に時間がかかっているか、どの画面で不具合が多いか、どの処理を触ると障害が起きやすいか、といった情報を整理します。また、どの業務がシステム都合で非効率になっているか、特定の担当者しか分からない箇所はどこか、といった観点も重要です。
これらの情報は、エンジニアへのヒアリングや、過去の改修履歴、不具合チケットの傾向から把握できます。感覚ではなく、事実に基づいて課題を整理することで、後の優先順位付けがスムーズになります。
ビジネスへの影響度を整理する
技術的に気になる箇所から直すのではなく、事業への影響が大きい箇所から優先すべきです。
例えば、売上に関わる注文機能や決済処理は、不具合が発生すると直接的な機会損失につながります。顧客対応に使う管理画面は、業務効率に直結します。毎日使う社内業務システムは、現場の生産性を左右します。障害が起きると業務が止まる処理は、優先度が高いと言えるでしょう。また、今後も機能追加が多い領域は、早めに改善しておくことで将来的な開発効率が上がります。
ビジネスへの影響度を整理することで、経営層や事業部門への説明もしやすくなります。「この部分を改善すれば、月に◯時間の工数削減が見込める」「不具合対応の頻度を◯割減らせる」といった形で、投資対効果を示すことができます。
テスト環境があるか確認する
リファクタリングは機能を変えない改善ですが、確認なしで進めるのは危険です。
本番環境とは別のテスト環境が必要です。テスト環境があれば、改善したコードを実際に動かして確認できます。自動テストがあれば、人の手を介さずに動作確認ができるため、安全性が格段に上がります。自動テストがない場合でも、最低限の確認項目を作っておくことで、リファクタリング後の動作保証ができます。
テスト環境や確認手順が整っていない状態でリファクタリングを始めると、本番環境で予期しない不具合が発生し、かえって業務に支障をきたすリスクがあります。
用語補足
- テスト環境:本番システムとは別に、修正内容を確認するための環境。
- 本番環境:実際にユーザーや社内担当者が利用しているシステム環境。
- 自動テスト:人が手作業で確認しなくても、プログラムで動作確認できる仕組み。
技術的負債を減らすリファクタリングの進め方
ここでは、リファクタリングを実際にどのように進めるのか、5つのステップに分けて解説します。非エンジニアの担当者でも全体像を理解できるよう、手順を整理しました。
ステップ1:負債の見える化
最初に取り組むべきは、技術的負債がどこにどれくらいあるのかを可視化することです。
エンジニアへのヒアリングを行い、「どの機能が改修しにくいか」「どの処理が複雑か」といった生の声を集めます。改修工数が多い機能や、不具合が多い箇所を洗い出し、データとして整理します。また、コードの複雑さを客観的に確認するために、静的解析ツールを使うことも有効です。
静的解析ツールとは、システムを実際に動かさずに、コードの複雑さや課題を自動でチェックするツールのことです。これにより、「このコードは複雑度が高い」「この処理は他の処理と依存関係が強い」といった情報を数値で把握できます。
可視化することで、感覚ではなく事実に基づいた優先順位付けが可能になります。
用語補足
- 静的解析ツール:システムを実際に動かさず、コードの複雑さや課題を自動でチェックするツール。
ステップ2:優先順位を決める
技術的負債をすべて一度に解消することは現実的ではありません。限られたリソースの中で最大の効果を得るために、優先順位を付けます。
優先順位は、「ビジネスへの影響度」と「改善のしやすさ」の2軸で整理すると分かりやすくなります。
| 優先度 | 状態 | 対応方針 |
|---|---|---|
| 高 | 影響度が高く、改善しやすい | 最初に着手する |
| 中 | 影響度が高く、改善が難しい | 計画を立てて対応する |
| 中 | 影響度が低く、改善しやすい | 他の改修と合わせて対応する |
| 低 | 影響度が低く、改善も難しい | 後回しにする |
影響度が高く、改善しやすい箇所は、投資対効果が高いため最優先で着手します。影響度が高いが改善が難しい箇所は、計画を立てて段階的に対応します。影響度が低く、改善しやすい箇所は、他の機能追加や改修のついでに対応すれば効率的です。影響度が低く、改善も難しい箇所は、無理に着手せず後回しにするのが賢明です。
この整理により、限られたリソースの中で効果を最大化できます。
ステップ3:小さく分けて改善する
リファクタリングで最も重要なのは、一度に大きく直さないことです。
大規模なリファクタリングを一気に進めようとすると、影響範囲が広がり、テストが大変になり、リリースが遅れます。最悪の場合、途中で頓挫したり、新たな不具合を生んだりするリスクがあります。
そのため、1画面、1機能、1処理単位で進めることをお勧めします。影響範囲を限定し、改善と確認を短いサイクルで回します。大規模改修に見せず、継続的な改善として進めることで、現場や経営層への説明もしやすくなります。
技術的負債を一気に返済しようとすると、かえって新しい負債を生むことがあります。小さく、安全に、確実に進めることが成功の鍵です。
ステップ4:テストで動作を確認する
改善後は、必ず動作確認を行います。
既存機能が変わっていないかを確認し、主要な業務フローが正常に動作することを確かめます。不具合が起きやすい箇所は、重点的にチェックします。可能であれば、自動テストを整備することで、今後のリファクタリングもスムーズに進められるようになります。
リファクタリングは「機能を変えない」ことが前提ですので、確認を怠ると意図しない影響が出る恐れがあります。特に、複雑な処理や他の機能と連携している部分は、慎重に確認する必要があります。
ステップ5:継続的に改善する仕組みを作る
リファクタリングは一度で終わりではありません。継続的に改善する体制を整えることが重要です。
機能追加のたびに周辺コードを整理する習慣をつけることで、技術的負債が再び蓄積するのを防げます。定期的にリファクタリングの時間を確保し、計画的に進めることも有効です。コードレビューを行うことで、問題のあるコードが本番環境に入る前に気づけます。改善内容をドキュメントに残すことで、後から見たときに「なぜこうしたのか」が分かりやすくなります。技術的負債をチケット化して管理することで、優先順位や進捗が可視化されます。
用語補足
- コードレビュー:エンジニア同士でコードを確認し、課題や改善点を見つける作業。
- チケット化:対応すべき作業を管理ツールに登録し、担当者や期限、進捗を見えるようにすること。
リファクタリングでよくある失敗
リファクタリングを進める上で、よくある失敗パターンを知っておくことは重要です。ここでは、代表的な4つの失敗例を紹介します。
目的が曖昧なまま始める
「コードが汚いから直す」だけでは、社内合意を得にくいものです。
リファクタリングには時間とコストがかかります。そのため、経営層や事業部門に対して、なぜ今リファクタリングが必要なのかを説明する必要があります。改修工数を減らしたいのか、不具合を減らしたいのか、属人化を解消したいのか、目的を明確にすることで、投資対効果を示しやすくなります。
目的が明確であれば、リファクタリング後の効果測定もしやすくなります。「改修にかかる時間が半分になった」「不具合対応の回数が3割減った」といった形で、成果を報告できるでしょう。
一度に大きく直そうとする
大規模なリファクタリングは、魅力的に見えるかもしれません。しかし、現実には多くのリスクを伴います。
影響範囲が広がれば、それだけテストが大変になります。すべての機能を確認しなければならず、確認漏れのリスクも高まります。リリースが遅れると、その間に他の改修や機能追加が待たされることになり、ビジネスへの影響も出ます。途中で予期しない課題が発覚し、プロジェクトが頓挫することもあります。最悪の場合、新たな不具合を生み、ユーザーや現場業務に影響を与えてしまいます。
小さく分けて、段階的に進めることが成功のポイントです。
テストなしで進める
リファクタリングは機能を変えないため、「動いているから大丈夫」と考えてしまうかもしれません。しかし、それは危険です。
テストなしでリファクタリングを進めると、改善後に正常動作を確認できません。意図しない不具合に気づけず、本番環境で問題が発覚することになります。現場業務に影響が出る可能性もあります。
先に確認手順を整えてから、改善に着手すべきです。テスト環境がない場合は、まずテスト環境を用意することから始めることをお勧めします。
ビジネス側の理解がない
リファクタリングは画面や機能が変わらないため、効果が見えにくいという特徴があります。そのため、経営層や事業部門には価値が伝わりにくいことがあります。
「将来の改修スピードを上げる投資」として説明する必要があります。例えば、「今後の新機能追加にかかる時間を半分にする」「不具合対応の工数を3割削減する」といった形で、具体的な効果を示すと理解を得やすくなります。
また、リファクタリングを進める中で、定期的に進捗や効果を報告することも重要です。可視化された成果を示すことで、継続的な投資の理解が得られやすくなります。
リファクタリングの効果をどう測るか
リファクタリングの成果を可視化することは、継続的な投資判断や社内説明において重要です。ここでは、効果を測るための4つの指標を紹介します。
改修工数の変化を見る
リファクタリングの効果は、改修にかかる時間の変化として現れます。
調査にかかる時間が減ったか、実装にかかる時間が減ったか、見積もりのブレが減ったか、同じような改修を短期間で対応できるようになったか、といった観点で測定します。
例えば、「以前は3日かかっていた機能追加が1日で完了するようになった」といった変化は、定量的な効果として示しやすいでしょう。改修工数の削減は、直接的なコスト削減につながるため、経営層への説明もしやすい指標です。
不具合件数の変化を見る
リファクタリングにより、コードの複雑さが解消されると、不具合の発生頻度も減少します。
改修後の不具合が減ったか、同じ箇所での不具合再発が減ったか、障害対応の回数が減ったか、といった観点で効果を測定できます。
不具合対応には、調査・修正・テスト・リリースと多くの工数がかかります。また、現場業務への影響やユーザー満足度の低下といった間接的なコストも発生します。不具合件数の減少は、間接的なコスト削減にもつながる重要な指標です。
開発リードタイムを見る
開発リードタイムとは、機能追加や改修の要望が出てから、実際にリリースされるまでの期間のことです。
要望からリリースまでの期間が短くなったか、計画から実装までの待ち時間が減ったか、手戻りや再テストの回数が減ったか、といった観点で測定します。
リードタイムが短くなれば、市場やユーザーの要望により早く応えられるようになります。競合他社に対する優位性を保つ上でも、開発スピードは重要な要素です。
属人化の解消度を見る
特定の担当者しか触れないコードは、リスクの高い技術的負債です。リファクタリングにより、属人化がどの程度解消されたかも重要な指標です。
担当者以外でも改修が可能になったか、引き継ぎがスムーズにできるようになったか、新しいメンバーが短期間でキャッチアップできるようになったか、といった観点で測定します。
属人化の解消は、組織としての持続性を高める重要な要素です。特定の担当者に依存しない体制を作ることで、人材の流動にも対応しやすくなります。
リファクタリングか、リプレイスかを判断する基準
技術的負債を抱えたシステムに対して、リファクタリングで改善するのか、それともリプレイスを検討すべきなのか。ここでは、判断基準を整理します。
リファクタリングが向いているケース
リファクタリングが適しているのは、システムの基本的な構造はまだ使えるが、コードの複雑さや保守性に課題がある場合です。
段階的に改善していきたい場合や、リプレイスに比べて予算を抑えたい場合にも適しています。現場業務への影響を最小限にしたい場合や、一部の機能だけが課題になっている場合も、リファクタリングが有効でしょう。
リファクタリングは、既存のシステムを活かしながら段階的に改善できる点がメリットです。ユーザーや現場担当者から見れば、画面や操作方法は変わらないため、学習コストがかかりません。
リプレイスを検討すべきケース
一方、リプレイスを検討する方が適切な場合もあります。
使用している技術が古すぎて保守できない場合や、セキュリティ上の重大なリスクがある場合は、リファクタリングだけでは解決できません。データベースやシステム構造に根本的な制約がある場合も、いくらコードを整理しても限界があります。
業務内容が大きく変わり、現在のシステムでは対応しきれない場合や、リファクタリングの累積コストがリプレイスを上回る見込みがある場合も、リプレイスを検討すべきでしょう。
リプレイスは初期コストが大きい反面、長期的には保守性や拡張性が大幅に向上します。また、最新の技術を採用することで、セキュリティ面や開発効率の面でもメリットがあります。
判断に迷う場合は現状調査から始める
リファクタリングとリプレイス、どちらが適しているか判断に迷う場合は、現状調査(アセスメント)から始めることをお勧めします。
アセスメントでは、現在のシステムの技術的な状態を調査し、技術的負債の種類と規模を整理します。リファクタリングで改善可能な範囲を明確にし、リプレイスした場合の費用対効果を算出します。段階的な移行プランの可否も検討します。
アセスメントを行うことで、感覚ではなくデータに基づいた判断ができるようになります。「このシステムはリファクタリングで◯割改善できる見込み」「リプレイスした場合、◯年で投資回収できる」といった形で、経営判断に必要な情報が揃います。
オプスインでは、システムのアセスメントから、リファクタリング・リプレイスの提案、実装・保守まで一貫して対応しています。まずは現状を整理することで、適切な判断ができるようになります。
生成AIをリファクタリングに活用できるか
近年、生成AIの技術進化により、リファクタリングにAIを活用する動きが出てきています。ここでは、AIでできることと、注意すべきポイントを整理します。
AIでできること
生成AIは、リファクタリングの一部を支援できる可能性があります。
重複コードの発見は、AIが得意とする領域です。似たような処理が複数箇所にあることを自動で検出し、共通化の候補を提示できます。コードの説明生成も有用です。複雑なコードの動作を自然言語で説明してくれるため、担当者が変わったときや、長年放置されていたコードを理解する際に役立ちます。
改善案の提示も期待できます。より読みやすい書き方や、一般的な設計パターンに基づいた提案をしてくれます。テストコードの作成補助も、AIが支援できる領域です。既存コードに対するテストケースの候補を生成してくれるため、自動テストの整備が進めやすくなります。
特に、「このコードが何をしているのか分からない」という状況で、AIによる説明は有用です。
AIに任せきりにしてはいけない理由
一方で、AIに全てを任せることには注意が必要です。
AIは業務仕様や過去の経緯を完全には理解できません。システムには、業務上の理由で複雑な処理になっている部分があります。AIはそうした背景を知らないため、一見シンプルに見える提案が、実は業務要件を満たさないことがあります。
誤った改善提案をすることもあります。一見正しく見えても、実際には動作しないコードを生成することがあります。特に、複雑な条件分岐や例外処理が絡む部分では、AIの提案が正確でないことがあります。
影響範囲の判断も、人間によるレビューが必要です。修正がどこまで影響するかの判断は、システム全体の構造や業務フローを理解していないと難しいものです。AIは局所的な改善提案はできても、システム全体への影響を正確に評価することは困難です。
AIはあくまで「補助ツール」として活用し、最終的な判断と確認は人間が行うべきです。AIの提案を参考にしながら、エンジニアが適切に判断し、テストで動作を確認する、というプロセスが重要です。
まとめ
技術的負債を抱えたシステムに対して、リファクタリングは有効な改善手段の一つです。ただし、目的を明確にし、優先順位を付け、小さく安全に進めることが成功の鍵となります。
リファクタリングは機能を変えずに内部構造を改善する手法です。改善しやすい負債と、リプレイスを検討すべき負債があるため、最初に見極めることが重要です。
事前に課題を可視化し、ビジネスへの影響度で優先順位を付けることで、限られたリソースで最大の効果を得られます。一度に大きく直さず、小さく分けて継続的に改善することで、リスクを抑えながら着実に成果を上げられます。
テスト環境を整え、動作確認を徹底することで、予期しない不具合を防げます。効果は工数、不具合件数、リードタイム、属人化解消度といった指標で測定し、可視化することで、継続的な投資の理解が得られます。
リファクタリングで改善できるのか、それともリプレイスを検討すべきなのか。判断に迷う場合は、現状調査(アセスメント)から始めることをお勧めします。まずは現状を正しく把握することが、適切な判断の第一歩です。
オプスインでは、システムのアセスメントから、リファクタリング・リプレイス・新規開発まで、幅広く対応しています。技術的負債にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
