MVP開発とは?新規事業に最適な5つの理由や6つの注意点

MVP開発とは、製品やサービスとして必要最小限の機能だけを開発し、ユーザーの反応を見ながら機能追加・改善する開発手法です。

新規事業やスタートアップ起業を考えている人は聞いたことがあるのではないでしょうか。

MVP開発する上で重要な部分を見落としてしまうと、せっかくの費用や時間が無駄になってしまします。

今回は、MVP開発が新規事業に最適な理由や、MVP開発に関して押さえておくべき注意点について解説いたします。

目次

MVP開発とは?

MVPは「Minimum Viable Product」の略で、日本語で言うと「実用最小限の製品」という意味になります。
もう少し噛み砕いて言うと「顧客が価値を感じる最小限の機能をもった製品やサービス」のことを指します。

MVP開発とは、顧客のニーズを検証しながら小さくサービスを開発する手法です。

シリコンバレーで多くのスタートアップや大企業が採用している新規事業開発モデル「リーンスタートアップ」の中で、MVP開発は重要な要素として扱われており、そのため注目が集まりました。

リーンスタートアップについては以下の記事で詳しく解説しています。

アプリやWEBサービスのMVPを開発する際には、アジャイル開発モデルをよく採用します。

一度にサービス全体を完成させるのではなく、まずは機能を分割し、一つひとつの機能を追加しながら製品開発していくプロセスをとります。

ユーザーが本当に欲しているのか確認するツールとして「MVP」を開発するのです。

新規事業やスタートアップに最適な理由

MVP開発は新規事業やスタートアップ企業の立ち上げ時に向いていると言われています。

その理由は大きく5つあります。

少ないリソースから始められる

新規事業立ち上げとなると、サービス開発に掛ける費用はなるべく抑えたいですし、工数を割く人員もなるべく減らしたいところです。

MVP開発は、最小限の機能をもつサービスを開発するところから始められるので、お金や人員などの初期投資を極力抑えることができます。

逆に最初から想定する機能を全て盛り込んだサービスを一度で作り上げようとすると、開発にかかる費用・工数も膨れ上がります。

開発に無駄が出づらい

新規事業の立ち上げはスピード感が大切です。
MVP開発においては、MVPを作るという共通の目標ができるため、開発に無駄が出づらいという特徴もあります。

目標がフワッとしているとサービス開発の方向性もブレがちです。
一方、大事な部分にフォーカスしそれ以外の要素が削ぎ落とされている共通目標があると、短期集中した開発が可能になります。

徐々に機能を追加していくので、不具合が発生した場合の対処がしやすいのも大きなメリットです。

一度に完成したサービスを開発しようとすると、必ずと言っていいほど仕様変更・不具合修正などの手戻りが発生するものです。
そうなると開発期間は長く伸びる傾向にあります。

一方、MVP開発であれば最小限の機能をもったサービスに改善を加えていく形になるため、大きな手戻りが発生しにくく不測の事態にも柔軟に対応できます。

開発者のスキルを確認できる

MVP開発は最小限の機能をもったサービスを小さく作るところから始まるため、開発者のスキル検証という面でも役立ちます。

サービス開発を外部に委託する場合であれば、MVP開発は発注先にそのまま開発を任せて良いかの試金石になります。

請負業者、大手企業、海外のデベロッパー、いろんな開発パートナーが考えられますが、サービスによっては得手不得手もありますし、そもそも開発パートナーのレベル感もまちまちです。

MVPの開発すらこなせないのであれば、サービスを最後まで開発するには苦労を要することが簡単に想像できます。

顧客にいち早く利用してもらえる

スピーディーに市場に出してユーザーから反応がもらえる点も、MVP開発が新規事業に向く大きな要因です。

新しいサービスを市場に出すと、「アーリーアダプター」と呼ばれる活発に情報収集し流行に敏感で新サービスに寛容な層が、サービスをすぐに利用してみて話題にしてくれる可能性があります。
実際にユーザーに使ってもらうことで、その後の開発に有益なフィードバックがもらえることもあるでしょう。

最小限の機能でも、サービスの実物があるからこそ具体的な反応も返ってきます。

PDCAを高速で行える

MVP開発では最小限の機能をもったサービスに改善を加えて完成形に近づけるようなアプローチを行います。

PDCAサイクルを高速で何回も行えるため、最終的には一度に完成品を作りにいくアプローチよりもユーザーに求められるサービスを開発できる可能性が高いです。

まとめると

新規事業の立ち上げで最も避けたいのは、ユーザーにとって価値のないサービスを作ってしまい、その結果お金と時間が無駄になってしまうことです。

その点、MVP開発はそのリスクを最小に抑えリリースすることができ、新規事業向きの開発手法と言えるでしょう。

またスピード感をもって開発できるため、最低限の機能でもいち早く市場に出すことで、後から出てくる可能性のある競合サービスよりも先んじてリリースし一定の認知を獲得し、先行者利益をもたらすことも可能です。

MVP開発の注意点

新規事業立ち上げに最適なMVP開発にも注意点が存在します。

代表的な注意点を6つご紹介いたします。

どれもMVP開発を成功させるための重要なポイントです。

開発に2ヶ月以上かかる機能には向かない

MVP開発に向かない規模のサービスもあります。

具体的には、開発に2ヶ月以上かかるような複雑でボリュームのある機能を有する場合は、MVP開発に不向きと言えます。

必要な機能を最小限に絞って、2ヶ月以内で開発が可能かどうかを事前に判断するようにしましょう。

開発者視点ではなくユーザー視点でMVPを作成する

MVP開発で重要なのは、ユーザーに受け入れられるサービスであるかどうかを小さく検証することです。

ですので、まずはユーザーにとって価値のあると考えられる機能に絞ってサービス開発をすることが求められます。

もしユーザーを無視した開発者視点に寄りすぎたサービスを作ってしまうと、MVP開発におけるユーザー検証が十分に行えない可能性があります。それではMVPの意味がありません。

あくまでユーザーが価値判断できるようなサービスを小さく作ることが重要です。

ユーザーと良好な関係を構築する

ユーザーから有益なフィードバックをもらうためにも、ユーザーと良好な関係を構築することは大切です。
表面的なフィードバックでは意味がありませんし、短期的な目線のフィードバックでもやはり意味がありません。
良い関係があるからこそ、深く本質的なフィードバックを得ることができます。

また良好な関係となったユーザーは、新サービスを周りに紹介してくれたり拡散してくれる可能性もあります。

広く浅いユーザーを数多く集めるよりも、コアなユーザーを獲得し良好な関係を築くことがMVP開発においては重要です。

フィードバックを求める時は具体的な質問を用意する

ユーザーにフィードバックを求める時は、具体的な質問を用意すると、具体的な意見が返ってきます。
反対に言えば、漠然とした質問だと漠然とした回答しか得られません。

例えば「3つの機能のうち、利用価値が高い機能から順位をつけてください」「検索機能について10段階で評価してください」と言った具体的な質問には、回答がブレず具体的になります。

反対に「このサービスの良い点と悪い点を教えてください」とあった曖昧な質問だと、回答も曖昧になってしまう可能性があります。

ユーザーから有益なフィードバックを得ることがMVP開発の大きな目的のはずです。

なので、フィードバックの仕方をユーザーに任せるのではなく、ユーザー検証が行いやすいような質問を予め練っておくことが重要です。

ユーザーの意見に耳を傾けすぎない

ユーザーの意見は大切ですが、ユーザーの意見に耳を傾けすぎることにも注意が必要です。
なぜなら、サービスユーザーの直接的な声を取り入れるのが目的ではなく、あくまで製品・サービスで問題を解決することが目的だからです。

ユーザーの意見を取り入れすぎると目的がブレるため、あくまでユーザーが感じる課題や価値などに絞って意見を取り入れると良いでしょう。

UI/UX・デザインを疎かにしすぎない

最小限の機能をもったサービス開発と言えども、UI/UXやデザインを疎かにしすぎてはいけません。

仮にUI/UXに大きく問題がある状態でユーザーにフィードバックを求めたとします。

そうすると、検証したい仮説に関係のないUI/UXばかりに目がいってしまい、本来得たかったフィードバックがぼやけてしまう可能性があります。

そのような事態を回避するためにも、例えMVPだとしてもUI/UXやデザイン面でも最低限のサービスを用意する必要があります。

MVP開発の手法

MVP開発にもいくつか種類が存在します。

ここでは新規事業で採用される代表的な手法を4つご紹介いたします。

プロトタイプ

いわゆる”試作品”のことです。
MVP開発においては、この手法が一番イメージしやすいのではないでしょうか。

ユーザーの反応を見るために最小限の機能を入れた試作品のこと指します。
特に、実際に形を持った製品・サービスを指す場合が多く、コスト的には他のMVPに比較して大きくなる傾向にあります。

オズの魔法使い

フロントプロダクト(画面)のみをユーザーに見せ操作してもらうが、実際にはシステム実装されておらず、エンジニアなどが裏でシステムを操作することでユーザーには実際にシステムが稼働しているよう見える、というMVP手法です。

童話『オズの魔法使い』にある、人々が恐れた魔法使いの正体が実はカーテンの後ろのおじいさんだった、というストーリーから名前がつけられた手法です。

スモークテスト

ユーザーがサービスに興味を持っているのかどうか、それのみを検証する手法がスモークテストです。

代表的なスモークテストには、サービス紹介ビデオとプレオーダー形式の2種類があります。

サービスの紹介動画や事前登録サイトを公開し、ユーザーの反応を確認します。
そこでサービスに対するユーザー需要が本当にあるかどうかを見極めます。

スモークテストを採用した事例として、よく「Dropbox」が挙げられます。

以下は「Dropbox」のスモークテストの様子です。

「Dropbox」のサービス紹介ビデオ

コンシェルジュ

全てを手作業・マニュアルで操作するのがコンシェルジュです。
オズの魔法使いでは、フロントプロダクト(画面)は実装されていましたが、そこも手動で対応します。

ユーザーとのコミュニケーションが密になるため意見を吸い上げやすいことが特徴です。

仮説検証のフレームワーク「MVPキャンバス」

MVPキャンバスとは、MVP開発において漏れなく効果的に仮説検証を行うためのフレームワークです。

このフレームワークを利用することで、仮説検証の精度が上がり、仮説検証後のサービス開発の方向性も明確になります。

MVPキャンバスには10の要素があり、それらを順に記載・実行して整理していきます。

以降、順に解説いたします。

1.仮説

新規事業において、最もクリティカルと考えられる仮説を定義します。

2.何を学ぶか

仮説検証をして、明らかにしたい事項を明確にします。

3.仮説実証方法

仮説を実証するための、具体的方法を考えます。

4.実証に必要なデータ・条件

仮説の実証に必要となるデータや条件について整理します。

5.何を作るか

1〜4の要素をもとに、MVPとして何を作るかを決定します。

6.MVP構築に必要なコスト

MVPとして何を作るか決まったら、その構築に必要なコストを概算で弾き出します。

7.実証に必要な時間

仮説の実証に必要となる時間を割り出します。できるだけ具体的なスケジュールに落とし込みます。

8.リスク

仮説実証で発生するリスク及び未然に防げるリスクの両方を洗い出します。

9.得た結果

仮説実証で得られた結果について振り返ります。

10.得た学び

実証の結果、当初の仮説が正しかったかどうかを確認します。

また今後どのようにサービスを開発していくか、方向性や具体的アクションを決めます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、MVP開発が新規事業の立ち上げに最適な理由や、MVP開発の際の注意点などについて解説しました。

MVP開発は新規サービスを開発する際に非常に役立つ開発手法です。

検証したい仮説を明確にし、最小限の機能を有したサービスを開発し、ユーザーの意見を集めて検証を行う。

フレームワーク「MVPキャンパス」も有効活用すれば、一連の工程を漏らすことなくMVP開発が行えます。

ただし、MVP開発においても注意点があります。
大事なことは、MVP開発はあくまで新規事業立ち上げの手段であり、MVP開発やフレームワーク活用が目的になってはいけないということです。

当記事が新規事業・サービス立ち上げにおいて少しでも参考になれば幸いです!

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