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ユーザーの声をより反映できるサービス提供

現代では様々なサービス、商品があらゆるユーザーの手にわたり、人々の生活を豊かにするものとなっています。サービス提供の流れ、というものはある程度確実な形が存在していますが、中には少し違う方式があります。
 
今回紹介する方式のサービス提供を実際に活用している事業についても紹介していきます。

従来とは違う流れ

従来の流れ
提供されている多くのサービスでは、上の画像のような流れが適用されています。まず初めにサービスの提供を行い、それに対してのリアクションを受け取って改良を繰り返していきます。
 
新しい流れ
最大の特徴、上で紹介したものとの違いはサービスの提供の前にユーザーからの声を取り入れている、という点でしょう。
 
反面ユーザーの需要が一定数無ければコンテンツの提供までつながりづらいという点もありますが、実際にこれを採用している例も多くみられます。次は、その具体例を業界別にいくつか紹介していきます。
 

オンラインクラスサービス【CLASS 101】

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CLASS 101は、韓国とアメリカを拠点に置くサービス。2020年の2月からは日本でもサービスを展開し始めました。
 

サービスの流れ

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①クラスの掲載
イラストや写真、料理やハンドメイドなど多くのジャンルに関するクラスを掲載します。掲載ページには習得難易度や詳細が載せられており、予め確認が可能です。
 
②希望者の募集
HPには多くのクラスが掲載されていますが、その全てが開講出来る、というわけではありません。クラスの開講のためには、希望者の応募が100人集まる必要があります。その時点で何人が応募しているかは常にメーターで確認することが出来、クラスの掲載主、ユーザーの双方にとってわかりやすい機能となっています。
 
③開講
100人を超えると実際にクラスが開講されます。受講の際に使用する材料は予めCLASS 101から予め配送され、授業動画は期間内であれば何回でも視聴することが出来るため、確実に知識と技術の定着が可能です。他の受講生との共有、提出した作品に対してのフィードバックもあり、ユーザーにとって優しいコンテンツを提供していることがわかります。
 
冒頭で紹介したサービス提供の流れを活用してサービスを提供していることが分かったかと思いますが、そのなかでもCLASS 101の大きな魅力と言えるのはコンテンツ提供後の充実さではないでしょうか。
 
100人の応募者という条件を満たしたクラスだけを開講することで大多数のユーザーの需要を満たせるようにしていますが、受講生が求める「自分の技術の上達」を実現できるように更にサービスを提供しているという点は、CLASS 101の武器といえるでしょう。視点を変えて考えれば、最初に挙げた従来の流れにある「ユーザーの要望、意見に合わせたコンテンツのアップデート」という箇所をうまく変形させて組み込んでいる、とも言えそうですね。
 

旅行企画SNS【Trippiece】

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株式会社Trippieceが旅行メディア「RETRIP」と一緒に2011年から運営しているサービス。2013年には観光庁長官賞も受賞しており、十分に知名度を得ています。
 

サービスの流れ

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①企画の掲載
Trippieceが認可した企画プランナーによる旅行案を掲載しています。プランナー個人が立案を行うため、旅行会社の企画するプランよりも珍しい場所、内容のものが多くなっています。
 
②参加者の募集
掲載から一定の期間、参加者を募る期間が設けられます。他のユーザーがどの程度企画に興味をもっているかがわかる投票機能なども提供されている為に応募期間の途中でもある程度需要を把握することが出来るように設計されていますが、旅行というコンテンツの特性上どうしても参加者を目標まで募れずに企画倒れしてしまうケースも多いようです。
 
③ツアーの具体的な内容を練る
参加者とプランナーの間で、ツアーの中身を練っていきます。旅行先で自分がしてみたいことを組み込みやすいという利点があり、より満足するコンテンツに仕上げることが出来ます。
 
④出発
 
TrippieceもCLASS 101同様の流れでコンテンツ提供までを運んでいることがわかりますが、やはり一番の強みはユーザー(参加者)の願望を実際に企画に組み込むことをし易い、という点ではないでしょうか。CLASS 101の様に提供後も満足度を上げていく、ということは出来ませんが、その分事前にユーザーの需要、要望を受け入れる余裕を持たせている、と考えて良いでしょう。
 

クラウドファンディング-ロモグラフィ社によるフィルム製造の例

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ロモグラフィ社はデジタルカメラの台頭から需要の減っていったフィルムカメラで使用するフィルムの五年ぶりの新製品製作のため、クラウドファンディングを開始しました。
結果的には当初の目標金額100万円の二倍超となる240万円を調達することに成功し、無事に新作「METROPOLIS」を完成までこぎつけました。
 
クラウドファンディングは2011年ごろから日本に定着している手法であり、多くの人が知っているものである為に詳しくは述べませんが、投資型、寄付型の様に様々な形がある中でも今回のプロジェクトは購入型と言えるでしょう。
 
企業が製作するコンテンツ(製品)をユーザーに提案→ユーザー、ファンによる応援や出資→コンテンツの制作、出資を行った人へのリターン
 
という流れがうまれており、製品に対する需要が一定数あることを把握してから製作に移ることが出来ることがわかります。因みに、このプロジェクトでの出資者へのリターンはフィルム購入の際の割引やウィーン旅行ツアーだったようです。
 
■参考:ロモグラフィー初のフィルムプロジェクト。ドラマチックな色を楽しめる 35mm、120、110、16mm。
 

クラウドファンディング-美術館KAMUの例

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石川県の金沢に2020年5月に完成したばかりの私設美術館「KAMU」は、設立資金の一部をクラウドファンディングによって調達しました。最終的には2か月弱で目標金額30万円の約14倍となる424万円を調達することに成功し、プロジェクトを掲載したクラウドファンディングのプラットフォーム「GREEN FUNDING」のアート部門でトップクラスの調達金額となりました。
 
プロジェクトのページに掲載されている立案者、林田堅太郎さんはインタビューで調達した資金は設立後にも改修、サービスの改良のために費やすと述べており、コンテンツの提供(美術館の設立)という段階の後にもクラウドファンディングの恩恵を得られることがわかります。CLASS 101同様、先述のサービス提供の流れを採用している事業形態であっても、コンテンツのアップデートを行う事はある程度可能と考えて良いでしょう。
 
■参考:構想から6ヶ月で現代アート美術館をオープンする32歳の挑戦
 

このような提供方式を採用することで得られるメリット

いくつか例を挙げていきましたが、従来のサービス提供とはまた違う魅力が存在することが分かりましたでしょうか?
この方式はプロジェクトを実行する事業者、事業者から提供されるコンテンツを消費するユーザーの双方が大きなメリットを得られる様になっています。簡単にまとめてみましょう。
 

事業者目線

まず初めに、ほぼ確実にユーザーが求めているものを提供できるという点があります。ユーザーの声を聴き入れてからのコンテンツの開発になりますから、どんな分野でもある程度保証されるメリットでしょう。
 
二つ目に、世の中にまだ定着していないコンテンツやユーザー層が絞られるようなコンテンツも、一定の需要があれば確実に製作することが出来る点でしょうか。企業による比較的規模の大きい事業でなくとも得られるメリットと考えられます。
 
三つ目に、コンテンツの種類によっては従来のサービス提供の流れもある程度取り込める、という点。CLASS 101と美術館KAMUの例では提供後のコンテンツのアップデートがありました。
 

ユーザー目線

需要を把握したうえでのサービス提供ではユーザーにもメリットが存在します。
 
一つ目に、コンテンツに自分が実現してもらいたいものを反映してもらえる可能性がある、実現してもらいたいことに対して手厚いサポートが受け取れる為に満足度が高まること。従来のようなサービス提供でもコンテンツの改良はありますが、最初から自分の理想に近いコンテンツを提供してくれているのは大きなメリットと言えるでしょう。
 
次に、比較的珍しいコンテンツを享受できる点。勿論提供の流れの特性上一定の需要が無くては提供へとつながりませんが、それでもやはりそこから得られるサービスは他にはないものが多いと言えます。
 

まとめ

今回は普通とは少し違うサービス提供の仕組みについて紹介していきましたが、この方式にはまだまだ可能性があると考えて良いのではないしょうか。
 
提供されるコンテンツは世界中に多くありますし、細分化すればきりが無いほどでしょう。コンテンツのジャンルによっては、この提供方式が主流になるものも有るかもしれませんね。

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